2014年07月28日(月) 18:00 59
今年の3月3日、JRAは「競馬関係法令の一部改正に伴い、6月7日以降の中央競馬における勝馬投票法ごとの払戻率を設定する」と発表しました。賭式ごとの払戻率の見直しであり、従来より上がった券種がある一方で、3連単とWIN5の払戻率は減少。はたして、この事実が意味することとは。新払戻率が実施されてから約2カ月。今月は、この払戻率変更から見えてくる、JRAの意図に迫ります。
改正競馬法5条では、払戻率を「100分の70以上、農林水産大臣が定める率以下の範囲内で日本中央競馬会が定める」としている。「大臣が定める上限」は80%とされ、これを受けてJRAは3月3日に、賭式別の新たな払戻率を発表した。
単勝・複勝は80%で、枠番連勝・馬番連勝・ワイドが77.5%、馬単・3連複は75%で3連単が72.5%、WIN5は70%とされた。
賭式別の昨年度の払戻率実績との比較は別表の通りで、枠連、馬連、ワイドの引き上げが目立つ一方、3連単とWIN5は大きめの減少に設定された。全体的な払戻率は75.02~75.15%と想定され、昨年実績比0.12~0.25ポイント増。同じ売り上げの場合、通年の払戻金額が30億~60億円増加する形で設定された。いわば持ち出しである。
JRAが圧倒的にシェアの多い3連単の払戻率を減らし、馬連やワイドを厚くした意図は、一般のファンにも想像がつくだろう。的中確率の高い賭式の選好度を高め、人為的にシェアの移動を図っている。そこから逆に、従来の売れ方に対するJRAの認識が見えてくる。3連単にシェアが集中する状況は不都合だったのだ。
だが、馬連導入後・・・
野元賢一
1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。