2014年08月25日(月) 12:00 27
▲整頓された高橋康之厩舎の内部
東 調教師試験に合格されたら、今度は開業に向けての準備が大変だったと思うのですが?
高橋 そうですね。まずは金銭面ですよね。スタッフへの給料が先払いなのと、あとは道具をそろえなくてはいけないですので。道具と言うのは、馬の手入れ道具、乗るための道具、厩舎作業をするための道具も必要です。それから、馬たちが夏場も気持ち良く過ごせるように、ミストや扇風機を入れたりですとか、設備面も整えないといけないですね。
東 挙げて行くと、たくさん出てきますね。
高橋 そうなんですよ。細かいところまで言うと、飼い葉桶とか水を飲む桶とかも(笑)。どういう物が必要で、どうすれば少しでも安く仕入れられるか、いろいろ調べました。あとは、厩舎の方針を決めることも開業準備で大切なことです。「こういう調教をしていきたい」「将来的にこういうことをしたい」という柱を自分の中で作って、スタッフに伝えて、浸透させていく。それが結構大変でしたね。
▲高橋康之師の手書きのトレーニング方法
東 具体的に、どういう方針を立てていらっしゃるんですか?
高橋 『調教』『ケア』『飼料管理』、うちではこの3つを柱に馬を育てるということをしています。『調教』は、競馬に向けてどういう調教をしていくか。個々の馬たちの特徴を知りながら、どういう調教をしていくのがいいかというところですね。短所を直すのでなく、長所を伸ばして短所にしないようにするという調教をしています。調教や競馬をすれば、今度は疲れが出てきます。そこで体も心もリフレッシュさせてあげる。そういうケアを大切にするという意味での『ケア』ですね。
東 体だけでなく、心のケアもなんですね。
高橋 ええ。心身ともにケアが必要というのは、人間も一緒ですもんね。心のケアというのは、馬が安心できる場所を提供してあげるということでもあります。馬は本来集団で生活する動物で、その集団の中に“リーダー”という存在がいるんです。それを“アルファ”と言うんですけど、そういう存在がいることで、馬は集団の中で安心できるんです。
東 それは、草食動物だからですか?・・・
東奈緒美・赤見千尋
東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。
赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。