2014年08月29日(金) 18:00
注目の期待は、5歳の急上昇馬ヴォーグトルネード。5歳のここまでは、ダートでも楽々と上がり「35秒台」を記録する、切れるダート巧者として知られていたにすぎないが、ここ2戦の勝ちっぷりにオープンでもトップクラスではないかと思わせる迫力が増した。
5月の東京ダート2100mの「ブリリアントS」を、後方から一気に伸びて上がり3ハロン34秒9で勝ったレースも強かったが、前回の中京ダート1800mの「ジュライS」の勝ち方はまさにケタ違いだった。
人気の先行タイプが上位に残る時計の速いレースだったが、追い込みのヴォーグトルネードは初コースのためか前半は離れた最後方追走。4コーナーでも後方14-15番手に取りついたにすぎなかった。さすがに今回は苦戦かと思えたが、直線中ほどでエンジン全開となると、レース上がり38秒1に対し、この馬のフィニッシュは「36秒1」。
届いたどころか、ゴール前100mくらいで先行勢に襲いかかるとあっという間に4馬身も突き抜けていた。条件戦ではない。中京ダート1800mを1分48秒9のレコード勝ちしたサトノプリンシパルを4馬身以上も離したのである。この強さは本物だろう。これで得意の左回りのダート【4-2-1-0】となった。
豪快な追い込みも魅力なら、ベースになるだろう血統背景もきわめて魅力的。ナタルマ(ノーザンダンサーの母)の半姉として知られる名繁殖牝馬コスマー(父コズミックボブ)の血量[4×5]。そのクロスは、4代母のラダムデュラク(父ラウンドテーブル、母コスマー)が、大種牡馬ヘイロー(父へイルトゥリーズン、母コスマー)の半妹という形で生じる。コスマーの牝系に、サンデーサイレンス系ネオユニヴァースの組み合わせである。
今回は得意の左回りとはいえ、コーナーのきつい小回りダートの新潟1800m。ここが死角と思えるが、幸い10頭立て。馬群をさばく必要はない。ここをクリアできるなら、ダートGIでも好勝負と考えたい。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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