2014年10月17日(金) 18:00
あまりにも緩すぎる流れで、息を殺した探り合いの超スローペース、などと形容するのも無理だった。とまっていた数匹のハエが飛び立ち、レースが開始されたのは残り3ハロン地点。直線に向いてからのことで、勝ちタイムは1分48秒8。最後の直線3ハロンは「10秒8-10秒7-11秒3」=32秒8だった。
逃げる形で4着同着だったコスモネモシンの上がりがもっとも遅く「33秒0」。残りの12頭の後半3ハロンはすべて「32秒台」であり、最速を記録した6着(0秒2差)ゴールデンナンバーの上がりは32秒0。大変な記録が残っている。
1970年代後半のアメリカで、ケンタッキーダービーなど30戦26勝の星を残したのはスペクタキュラービッド(マームード譲りの芦毛)。同馬から伝わる非常に珍しい芦毛をもつこの牝馬、ボッタリした体型だから鋭さは感じさせないが、阪神牝馬Sの同馬の上がりは33秒3だった。
平凡に映るのは、それは阪神内回りの3コーナーからのことだからであり、レースの最終2ハロンは「11秒5-11秒6」である。4コーナーでまだ最後方にいたスマートレイアーは、レース上がり34秒8を「1秒5」も上回ったから、最後は推定「10秒8-10秒6」=21秒4に近い上がりで猛然と加速して差し切っている。
瞬発力というより、気分よくスパート体勢に入ると、トップスピードを500mくらいは持続できる末脚勝負型と考えたい。ゴールドシップと似たような一面があり、気が乗らないのに動かそうとすると案外なところが見られるから、この日、京都で騎乗する武豊騎手の代役は、同じように気分良く追走することの巧みな騎乗流儀が求められる。そこで、横山典弘騎手になったのではないかと、考えたい。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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