2014年11月20日(木) 12:00 13
中国の故事に「天が与えたものを受け取らないと、あとで後悔しても間に合わない、チャンスは逃すべきでない」と三国志に出てくる劉備に友人が進言したとある。これなども、理解はできても、史実として受けとめるにとどまっている。現実は生温い。だからというわけでもないが、ラキシスがエリザベス女王杯を勝ったことに、大いなる意味を見い出したくなるのだ。昨年2着の雪辱を果たす快感には、それ以後に培ったものがあった。重賞で牡馬相手に差のないレースを積み重ねた経験、これがいざというときに生きた。また、ひとつ年下のオークス馬ヌーヴォレコルトを前に見て好位置につけるという幸運、手ごたえ十分で直線を迎えられたこと、一番枠という点が与えた絶好のチャンスを生かし切った戦い方でつかんだ優勝だったのだった。
「やっとこの脚を使えました」という川田騎手の執念も、「チャンスは逃すべきでない」を実践した姿といえる。これをきっかけにどう進化していけるか注目したい。マイルチャンピオンシップをきっかけに、短距離馬として初めて年度代表馬になったタイキシャトル。この名馬の初GI制覇は、6頭のタイトル馬を蹴散らしてのものだった。デビューからわずか半年あまり、3歳でマイルの頂点に立ち、競走成績12戦10勝の中にはジャック・ル・マロワ賞などGIが5勝。この全ては、マイルチャンピオンシップのワンチャンスを生かしたことからスタートしたのだ。
長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。