2014年11月29日(土) 12:00
来年、同レースの1着賞金は3億円に増額されます。1981年の創設当時は6500万円でしたから、35年目で約4.6倍に引き上げられるわけです。でも、これはあくまで「日本円では」という但し書き付き。外国勢が獲得できる賞金額は、その時々の為替相場によって大きく変動します。そこで今回は、1981年以降の日本円VS米ドル、日本円VS英ポンドの為替レート(年間平均)とジャパンカップの歴史を横並びにして振り返ってみることにしました。なお、相場の推移については「世界経済のネタ帳」というサイトを参考にしています。
81年は、1ドル220円54銭、1ポンド445円22銭という時代。第1回ジャパンカップの優勝馬メアジードーツ(アメリカ)が獲得した賞金をこれで換算すると約29万5000ドル、約14万6000ポンドでした。
外国馬にとっての“黄金時代”は86-91年。86年に米ドルは初めて200円を割り込み168円52銭、英ポンドも初めて300円を切って247円03銭になりました。この年、ジャパンカップの優勝賞金は8000万円でしたが、単純に換算すれば約47万5000ドル、約32万4000ポンドです。優勝したイギリスのジュピターアイランドは、創設からわずか6年で倍以上に膨らんだ賞金を手にしちゃったんですね(日本円では1.2倍に増えただけなのに)。
外国馬が6連覇(アメリカのゴールデンフェザントが優勝)を果たした91年には、賞金は1億2000万円に増額されています。この年のレート(1ドル134円71銭、1ポンド238円06銭)で、約89万1000ドル、約50万4000ポンドです。
“右肩上がり”はまだまだ続きます。最後に外国馬(イギリスのアルカセット)が優勝した05年の優勝賞金は今と同じ2億5000万円。同年のレート(1ドル110円22銭、1ポンド200円35銭)では約226万8000ドル、約124万8000ポンド!さらに、その後の円高は12年に1ドル79円80銭、1ポンド126円07銭まで進みます。当然ながらジャパンカップの優勝賞金が“ピーク”に達したのもこの年。約313万3000ドル、約198万3000ポンドになっちゃいました!!ちなみに、1996年創設のドバイワールドカップの優勝賞金は09年まで360万ドル、10年から600万ドルです。
そして、今月28日のレートは1ドル118円20銭、1ポンド185円67銭前後です。来年のジャパンカップの優勝賞金が3億円に引き上げられても、このままの円安相場が続けば、約253万8000ドル、約161万6000ポンドという計算になります。09年頃の金額に比べたら“大幅ダウン”、っていうのは乱暴ですかね?
さすがに億単位の金額となると、為替相場の影響は甚大。「何を今さら」と言われそうですが、それを改めて思い知らされました。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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