2014年12月16日(火) 18:00 36
ベテランのこだわりが随所に…
「ジョッキーによってはいつも鞭を何本も持っていて、馬によって使い分けたりするそうですが、小牧さんは何本常備しているのですか?」「馬具や装備品のなかで、一番こだわりがあるのはなんですか?」といった、馬具に関係する質問が多かった今月。はたしてベテランならではのこだわりとは!?
(取材・文/不破由妃子)
小牧 初めて乗る馬とずっと乗っている馬ではまた違うけど、初めて乗る馬やったら、それまでのレースでだいたい何番手あたりで競馬をしているか、とかかな。単純に、どういうレースをしてるんかなぁと。
──相手関係を見て展開を考えたりはしませんか?
小牧 それもする。今日はどれが行くんかなぁとか。でもね、いい意味でそのあたりは適当です。そんなに細かくは見らん。かえって見らんほうがいいかなと思って。もちろん、ある程度は把握していたほうがいいんだろうけど、過去のレースにとらわれずに乗れば、その馬のまた違った面を引き出せる可能性もあるかね。
──なるほど。たとえば、力の足りない馬に騎乗した場合、力のある馬を頭に入れておいてその馬の後ろにつけると、自然と進路が開いていくから楽だという話を聞いたことがあります。
小牧 まぁそれもわかるけど…でもね、その力のある馬が出るとこなくなって一緒に詰まるとか、そういうのも多いからね。だから、走る馬の後ろに付けようとかは、僕はあんまり考えんね。あらかじめ、あの馬の後ろに付けようとか意識していると、結果的に後手後手に回ってしまうケースあるし。
──事前にある程度シミュレーションをするとしても、結局、出たなりの判断力が大事ということですね。
小牧 うん、それは間違いないね。
──続いては、「ジョッキーによってはいつも鞭を何本も持っていて、馬によって使い分けたりするそうですが、小牧さんは何本常備しているのですか?」という質問です。
小牧 常に持っているのは5、6本で、そのうちよく使うのは3本やね。1本はすごく細い鞭で、よっぽど引っ掛かる馬のときはそれを使ったり。
──やはりみなさん、使い分けているんですね。掛かる馬のときに細い鞭を使うのはなぜですか?
小牧 僕ね、指が短いんですわ。だから、グリップが細い鞭だと、そのぶん手綱が操作しやすいでしょ? そこまで掛かる馬って、追うときに叩く叩かないとかあんまり関係ないから。
──人によって鞭の長さや素材も違うそうですね。
小牧 うん、違うね。僕のは特別に・・・
小牧太
1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。