2015年01月27日(火) 18:01 82
▲馬乗りの“究極的な繊細さ”を語る福永騎手と四位騎手
福永 四位さんは、セカンドキャリアはどうするんですか? 現実的に考えてますか?
四位 もちろん考えてるよ。俺のジョッキー人生、あと何年乗れるかって考えると、残された時間はこれまで乗ってきた24年間よりも短いわけだからね。
福永 年齢を考えるとそうですよね。
四位 キャリアの長さで言うと、登山に例えれば、もう下山に入っていると思う。だから登山でもよく言われるように、登る時よりも下る時にこそ細心の注意をはらってる感じかな。その中で与えられた仕事に対して、ひとつずつ責任を持って、プロとしての結果を出していかなければならないと思っているよ。でも、体も自分で納得がいかないところが年々増えているような気がする。
福永 テクニカルな面はどうですか?
四位 やっぱりね、体が万全じゃないと、テクニカルな面でも100%の力を発揮できない。ほんの1センチのズレで、馬ってガラリと変わるから。そう考えると、改めて馬乗りって難しいよね。
福永 馬乗りのそういうすごさって、まだまだ外に伝えきれていませんよね。そういうことを発信する人がもっといてもいいんじゃないかと思います。
四位 そうだね。究極的に言うと、湖に張られた薄い氷の上を割れないように歩いているようなもの。ちょっとでもバランスを崩したら割れてしまう。馬に乗るっていうことは、それくらい繊細なんだよね。
福永 そのくらいの感覚が大事ですよね。そのさじ加減がうまくできない人間は、馬を速く走らせることができないということ。
四位 たとえば、肘の位置や角度ひとつで馬は変わるし、手綱を引っ張る角度をほんの少し変えるだけで、いつも掛かっている馬が掛からなくなったりする。たったそれだけで変わるんだから、馬乗りってすごいよね。
▲「肘の位置や角度ひとつで馬は変わる、馬乗りってすごいよね」
福永 だからこそ、返し馬が大事なんですよね。経験則から、そこでいかに馬のことを把握できるか。
四位 そういえば、祐一が雑誌やイベント等いろんなところで「返し馬が大事」って言ってくれているのを聞いて、すごくうれしかった。
福永 それも四位さんがきっかけになったところが大きいんですよ。北海道の角馬場で、四位さんが・・・
福永祐一
1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。