2015年03月26日(木) 12:00 18
ここまでは日々の歩みの中で体験していること。そこで競馬の中に自分の日常を捜すのだが、どうせなら自分には果たせない夢をそこに見たいのだ。
春のクラシックを前に、これまでの前哨戦を見ると、牡馬では弥生賞のサトノクラウン、スプリングステークスのキタサンブラックといずれもが3戦負け無し。これは牝馬陣も同じで、牡馬相手にきさらぎ賞を勝ったルージュバック、クイーンカップのキャットコイン、フィリーズレビューのクイーンズリングがいずれも3戦全勝。こんな春がかつてあっただろうか。チューリップ賞のココロノアイだけが、これを勝って5戦3勝で、これらがぶつかる桜花賞、皐月賞が待ち遠しくなる。
日常では叶えられない夢を担っているこれら優駿たち、こう捉えて、どの馬に自分の夢をかけてみるか。夢を叶える力は、心の奥底から沸き上がる願望から漲ってくるものでも、こればかりは祈るしかないが、叶う確率は競馬のほうが日常よりはるかに高い。だが、この先のことも見通しておくべきだろう。完全無欠の存在は、競馬であってもそんなにある筈がない。それぞれには適性あり、その中でどう本領を発揮するかなのだから、やはり情況を見なければならない。精いっぱいのその本領を生かす場面があるかどうかだ。有力馬たちにはその場面が多いというのが普通だが、少ないチャンスに本領を生かすこともあるのが競馬だ。そんな一世一代の大駆け、この夢も悪くない。かつてテンジンショウグンの勝った日経賞の大波乱が忘れられない。
長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。