週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

2004年03月30日(火) 12:56

 ラフィット・ピンカイ、クリス・マッキャロン、エディー・デラフーセイらが相次いで引退。更にゲイリー・スティーヴンスがフランスに移籍(どうせシーズン半ばで飽きちゃってアメリカに戻ってくるとは思うが)し、パトリック・ヴァレンズエラは薬物使用疑惑再燃で騎乗停止中と、勢力図の大幅な変動が必至となった南カリフォルニアの騎手分布。案の定と言うべきか、何人かのニューフェイスが台頭を始めている。

 その代表格が、ボブ・バファート調教師が重用しているジャヴィーア・サンティアゴ。3月7日にはウィンブルドンに騎乗してG2ルイジアナダービーを制覇。道中後方から絶妙のタイミングで追い出しての優勝だった。更に翌週のG2サンフェリペSではプリーチンアットザバーで2週連続重賞制覇。こちらはスタート直後に落馬したカラ馬に絡まれながら、これを上手に捌いての勝利。いずれも達者な騎乗で勝利に導いた2頭は、ともにバファート厩舎の有力なケンタッキーダービー候補だけに、このまま行けば5月1日はチャーチルダウンズで騎乗することが確実な情勢だ。

 サンティアゴは、プエルトリコ出身の28歳。祖国でトップ騎手となった後にアメリカへ移籍。デラウェアやフロリダで腕を磨いた後、昨年暮れにスタートしたサンタアニタの冬春開催から、騎手の争いが最も激しいと言われるカリフォルニアに乗り込んできた。3月28日現在、27勝で開催リーディング第9位。ニューフェイスがいきなりトップ10入りとなれば、近年にない下克上の成就となる。

 ここまで開催21勝でリーディング11位に付けているアレックス・ビソノは、19歳の見習い騎手だ。更に、開催11勝で15位に頑張っているミック・ルイスも見習い騎手なのだが、こちらの方はなんと年齢16歳なのだ。

 ケント・デザーモが予定されていた春の来日をキャンセルしたのも、こういう情勢ならば頷けるものがある。変動期の今だからこそ、南カリフォルニアにおけるポジションを確たるものにしておかないと、デザーモと言えども若手の台頭の波に一気に飲み込まれかねないのだ。

 ちなみに3月28日現在、リーディングの首位にはヴィクター・エスピノーザとアレックス・ソリスが68勝でピタリと並走。目の離せない状況となっている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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