2015年04月23日(木) 18:00 193
早いもので後藤浩輝騎手が亡くなってから49日が過ぎました。
先週の木曜日、栗東トレセンの出馬投票所で偶然、後藤騎手の弟分であり親友でもあった川村厩舎の釘田助手と話していて、「そういえば、今日は49日ですよね」と言われて気付きました。なんか、今でも亡くなったのが信じられなくて。ひょっこり後ろから「貴ちゃん」と肩を叩いてきそうな気がして。まだ、現実味がない。それが本音です。
今日はたまたま美浦にいたので、美浦の馬頭観音に行ってきました。シゲルスダチのことは普段は考えないようにしていますが、決して忘れたわけではないので。機会があれば、時折スダチを偲びつつ、ここへきます。
「スダチ、ごっちゃんをよろしくね」
まさか、そんな言葉をかける日がくるなんて2ヶ月前は考えもしませんでしたが…。いまはそれが現実。でも、偲ぶことで救われる気持ちもある。そう思います。
今週の福島牝馬ステークス、美浦・奥村武厩舎のウエスタンメルシーが走ります。この馬、かつては後藤騎手のお手馬でした。昨年12月の1000万下、続く東京の準オープン・初音ステークスを連勝。とくに初音ステークスで記録した33秒2という上がりタイムは光るものがあります。
初音Sを勝利したウエスタンメルシー(撮影:下野雄規)
「どんどんよくなっている。重賞でも通用するよ」
初音ステークスのレース後、このようにメルシーを高く評価した後藤騎手。それを受けて、陣営は中山牝馬ステークスへの出走も考えたほどでした。しかし、喜びもつかのま、あの訃報が。
…………涙。
その後、福島牝馬Sに目標を切り替えたウエスタンメルシー。順調に乗り込まれて、ここまできています。
ひとつ、不思議なことがあるんですよね。後藤騎手は初音Sのレース後、奥村師に「メルシーは調教で乗った感触のとおりにレースで走る馬」だと伝えているんです。自分のお手馬ですから、そんなことわざわざ伝える必要ないんですよね。でも、なぜかレースの直後にそれを言った。とても不思議です。
結果的にそれが後藤騎手の“遺言”になってしまいました。そして、その言葉を奥村師が丸田騎手に伝えています。
実際、その言葉どおりになるかどうかはレースが終ってみないとわかりません。ただ、丸田騎手はそれによってかなりイメージがつかめたそうです。
今週の福島牝馬ステークス、後藤騎手は天からウエスタンメルシーを応援してくれている。たとえ、妄想であったとしても、そう信じたいものです。
花岡貴子
デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)