2015年05月04日(月) 12:00 70
▲デビュー19年目で掴んだ重賞タイトル、その秘話を明かします
今月のゲストは松田大作騎手です。秋山真一郎騎手や武幸四郎騎手と同期の13期生で、デビューは1997年。それから苦節19年。タガノアザガルとのファルコンSで、ついにJRA重賞を勝利しました。紆余曲折を経てつかんだ念願のタイトル。あの涙に込められた思いとは、次走NHKマイルCの手応えは。胸の内を明かします。(取材:赤見千尋)
赤見 JRA重賞初制覇、おめでとうございます! 勝った瞬間のお気持ちというのは、いかがでしたか?
松田 ありがとうございます。結構接戦でしたからね。「勝ってるかな?」という意識はあったんですが、あまり浮かれないようにして帰ってきました。
赤見 1着から3着までがハナ差ハナ差の、大接戦でしたもんね。
松田 接戦でしたね。「勝ってる、勝ってる!」って、厩務員さんが1着のところで待っててくれたので、「あぁ、勝ててたんだ」って思えました。それと同時に「ついに勝ったか…」と思った瞬間、いろいろなものがドッと出てきちゃいましたね。
▲「自分が抱えている思いがすべて、ワッとこみ上げてきました」
赤見 感極まって。
松田 そうですね。この19年、ずっとぐずぐずしてきましたし、僕もいろいろなことがありましたので。そういう今まであった出来事、自分が抱えている思いがすべて、ワッとこみ上げてきました。
赤見 松田騎手を応援してきた方たちの反応もすごかったんじゃないですか?
松田 みんなにすごく喜んでいただけました。「おめでとう」の嵐で、そういうのは素直に嬉しかったですね。
赤見 千田調教師も初めての重賞勝利。先生とは以前から縁がありますよね?
松田 そうなんですよね。なぜだか(笑)、ずっと可愛がってくださっています。初めてアメリカ修業に行った時に一緒になって、調教師になられてからも乗せてくださいます。本当にありがたいですよね。
赤見 温かいですね。このお話は後ほどゆっくりお聞かせていただくとして、まずは次走のNHKマイルCが近づいていますので、タガノアザガルのことを伺っていきたいと思います。ファルコンSは初騎乗でしたけれども、乗る前はどんな印象だったんですか?
松田 これまでのレースを見て、切れ味がある感じではないのかなという印象を強く受けました。中京の1400mで1枠が当たってくれたので、レースとしてはイメージを作りやすかったですね。
赤見 パドックや返し馬で実際に跨ってみての感触はどうでしたか?
松田 すごく小さい馬なんですけど、根性はありそうな感じを受けましたね。
赤見 そんなに小さいんですか?
松田 小さいんですよ。体重的にじゃなくて、背が低い。頭1個分ぐらいみんなと違うんじゃないかな。脚もちょっと短くて可愛いんですよ。鞍を置く時、背中越しに向こう側が見渡せますから(笑)。性格はすごく真面目。とても素直で指示通りに動いてくれる、一生懸命な仔だと思います。
赤見 そういう馬だと、初めてでもコンタクト取りやすそう。
松田 人気のアクティブミノルがハナに行くんだろうなと予想していて、その真後ろにぴったりついていけたらいいなと思っていたんです。スタートは普通に出てくれたので、そこからじわじわっと動いて、理想通りの形になってくれました。
赤見 アクティブミノルには、ご自身でも騎乗されたことがありますもんね。道中は好位のインコースを進んで、驚いたのがその後です。4コーナーでワープしましたよね!・・・
東奈緒美・赤見千尋
東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。
赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。