カリズマティックの代表産駒/かしわ記念

2015年05月07日(木) 18:00


9歳馬の偉業

 快勝したのは、大ベテランの9歳馬ワンダーアキュート(父カリズマティック)だった。

 ベテランホースが快走することも珍しくないダート重賞とはいえ、GI(格)を9歳馬が勝ったのは、ダートの統一グレード制が敷かれて以降、JRA・公営を通じ初めてのことである。

 JRA所属の9歳牡馬ワンダーアキュートは、これで44戦【13-10-6-15】。
 昨14年の帝王賞ダート2000m(GI格)、12年のJBCクラシックダート2100m(GI格)、11年の東海Sダート1900m(GII)など、ダート重賞7勝目となった。
 長丁場向きのように思われるが、1600mではGIフェブラリーSで【0-0-2-2】の実績。13年のフェブラリーSではグレープブランデーと0秒2差の「1分35秒3」の記録もあるから、マイル以上なら距離を問わないタフガイなのである。

 かしわ記念は、2007年に7歳ブルーコンコルド、11年に7歳フリオーソ、12年にも7歳エスポワールシチーが勝っている。そのブルーコンコルド、フリオーソ、エスポワールシチーは8歳になった翌年にもみんな2着するなど、きわめてリピーターの強い重賞であり、過去10年の連対馬20頭のうち9頭までが「7-8歳馬」だから、タフなベテラン向きの1600m重賞として知られている。しかし、昨年の3着馬とはいえ、さすがに9歳ワンダーアキュートは苦しいのではないかと見られて単勝「18.4倍」の4番人気にとどまったが、人気の5歳ベストウォーリア、クリソライト、6歳牝馬サンビスタを完封したのはちょっと驚きである。

 父カリズマティック(その父サマースコール)は、1999年のケンタッキーダービー、プリークネスSを制しながら、人気になったベルモントSで、ケンタッキーダービー9着のレモンドロップキッド(父キングマンボ)に逆転負けして3着。良くある惜しい二冠馬の典型だった。

 アメリカで3年間供用されたあと日本に輸入され、2003年の春から種牡馬スタート。ここまで、もう11世代の産駒が競走年齢に達し、計124頭の勝ち馬を送っているが、GI(格)のレースを勝ったのはアメリカ時代を合わせこのワンダーアキュートだけである。
 すでに19歳。近年は交配数も限られているから、おそらく成功した種牡馬とはいえないままだろうが、ワンダーアキュートは9歳になっても元気いっぱいに走りつづけ、GI(格)を3勝もしてみせた。「カリズマティックの代表産駒だからである」。

 このあとは昨年勝った帝王賞連覇を目指すだけでなく、和田騎手をはじめ陣営は悲願のJRA・GI制覇を展望している。昨14年のGIチャンピオンズCは、ホッコータルマエの0秒5差の5着(5番人気)。1分51秒5だった。ちょっと時計がかかるコンディションなら、不可能ではないかもしれない。現に、今春のフェブラリーSを小差3着のベストウォーリアを、今回はねじ伏せて勝ったのである。

 レースの中身は、前後半「48秒2−49秒2」=1分37秒4。乾いた馬場だと時計がかかることが多い船橋だから、決して遅くはない。昨14年のコパノリッキーは「1分39秒2」であり、13年のホッコータルマエは「1分37秒8」だった。

 最後の1ハロン「13秒6」にまで落ち込んだタフなコンディションが、途中から先頭に立ちながら最後にワンダーアキュートに屈した1番人気のベストウォーリア、さらには見せ場を作れなかったサンビスタ、クリソライトの敗因だった。若いグループは、タフで、したたかなベテランホース向きのかしわ記念向きではなかったということか。


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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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