これから本物に…の可能性/阿武隈S

2015年07月10日(金) 18:00


今回が快勝のパターン

「テスコボーイ(GB)…サクラユタカオー…サクラバクシンオー…グランプリボスなどの後継種牡馬…」と続く種牡馬ラインの優秀性は知れわたっている。もう半世紀近くも主要血脈として日本で存続し(史上ただ1系統だけ)、それもG1級を送る父系として絶えることがないのである。スピード能力を失うことなく、スプリント部門だけでなくある程度の距離はこなす。サクラバクシンオーは、複数のジャンプG1級も送った。  5歳牡馬バロンドゥフォールの母ラトラヴィアータ(父サクラユタカオー)は、サクラバクシンオーの全妹にあたる。主にノーザンテーストの血を大きな味方に発展してきたこの牝系は、当然、近年はサンデーサイレンス系の血を取り込みつつある。繁栄を続けるためには必須の決まり事だが、バロンドゥフォールは「ディープインパクト」産駒。

 サクラバクシンオーの一族のスピード能力に、ディープインパクトの切れ味が加わって成功する産駒が増えるなら、サクラバクシンオー一族にこんな強力な味方はいない。

 バロンドゥフォールは、ここまではちょっと体質の弱いところがあり、使っては休み、使っては放牧休養の連続だった。3回もつづけて出走できたのは、過去に2回だけ。その2回ともに体調に不安なしの証明だから、順当に快勝している。

 今回がまさにそのパターンである。と同時に、ようやく体質の弱さも解消し、これから本物に…の可能性がある。前回は、1600万下への格上がりの1戦。今回より強力なメンバーだったと思えるが、接戦をインから割って出て、一旦は先頭のシーンがあった。

 結果は「クビ、ハナ」差の3着だったが、1分32秒9だから、中身は上々。ここで前回と同じ55キロのハンデは有利だろう。典型的なマイラーというより、平均ペースの流れに乗ってスパッと抜け出したい脚質。小回りコースの1800mは、前回の東京のマイル戦より合っている可能性が高い。良馬場見込みも歓迎である。

 この福島コース【1-1-1-0】。ラジオNIKKEI賞を勝っているケイアイチョウサンと、右回り1800mがベストと思えるオメガキングティー本線。以下、伏兵には52キロの牝馬パシャドーラを入れたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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