2004年05月05日(水) 13:02
仰天、イングランディーレの大逃走。これは、しばらく話題になります。春の天皇賞では、エリモジョージ以来28年ぶりの逃げ切りで、誰も予想できないシーンでした。
エリモジョージの場合は、気分を害すると走らないところがあって、気まぐれジョージといわれたものでした。そのエリモジョージの同期にカブラヤオーがいて、こちらは、皐月賞もダービーも逃げ切って春二冠を達成しています。他馬を怖がる癖があったことと、どの馬よりも強い心臓を持っていたこととを併せ考え、とにかく逃がすのが一番とこの手に出て成功したのでした。
一方のエリモジョージは、春のクラシックを戦って夏、札幌で故障し、休養のため牧場に戻っていたとき大火に遭遇、17頭もが焼死するという大惨事を体験しました。助かった4頭の中にエリモジョージがいたのでしたが、炎から半狂乱になって逃げたことでしょう。その炎の恐怖が原風景にあって、エリモジョージは翌年の春、そこから逃れるために逃げたのだと言われました。
それから28年、淀の春に再び見られた逃げ切りのシーン。人気薄の長距離の逃げ馬は生きていました。
まさかの4歳4強の全滅、何がそうさせたのかとみんなが困っています。
去年春も出走したイングランディーレは、3分18秒1で走って9着でした。そして今年は、それよりも遅いタイムで今度は1着ですから、競馬はわかりません。芝なら長距離が得意で、時計のかかる馬場がいいということははっきりしていて、テン乗りの横山典弘騎手は、逃げることで自ら、そういうイングランディーレに合う状況を作り出したのでした。レースの中には、自ら勝機を見出していかないことにはらちがあかないというケースもあるということで、その積極性が幸運を呼び込んだのでした。本当に油断はできないのです。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。