コース適性で大きくリード/越後S

2015年08月07日(金) 18:00


飛ばして行っても簡単には止まらない

 1600万下のダート1200m。ハンデ戦なので当然のように波乱は生じるが、越後Sというレース名の勝ち馬に限ると、不思議なことに05年以降、すべて「1-3番人気」に支持された人気馬ばかり。これは傾向でも、データでもないが、今年に照らし合わせると、人気上位で、かつそれなりのハンデを課せられているのは、夏競馬になるまで「オープン」ランクだった4歳馬2頭。4歳ペイシャモンシェリ、4歳マキャヴィティ

 このどちらかが勝つと、いつもの越後Sということになる。

 この、元オープンの2頭に比べると実績では大きく見劣るが、5歳馬アースゼウス(父オフィサー)に期待したい。今回は格上がり、休み明け、そのわりに人気。ハンデ56キロも有利ではないが、実績の4歳馬2頭(新潟ダートは初めて)と比較し、新潟ダート1200m【2-2-1-0】のコース適性で大きくリードの強みがある。

 新潟はときに広いコースなどと形容されることも珍しくないが、それは極端に扁平で横に長い全体の印象からくるもので、芝もそうだが、その内側のダートはきわめてコーナーのきつい小回りコース。芝も、ダートの幅員もJRA10場の中でもっとも狭いコースであり、実際はひとつも広くない。

 アースゼウスはこのコースに前述の良績がある。これは父方も、母方も、さかのぼる5代くらいまで完全なアメリカ血統だけで統一されていることが関係するのだろう。

 完ぺきなアメリカ血統の組み合わせ(シアトルスルーの4×4。レイズアネイティヴの5×5)であり、アースゼウスはほかのコースでは必ずしも快速のダート巧者でもないのに、左回りの新潟ダートでは、ブンブン飛ばして行っても簡単に止まらない。

 前回の圧勝は、骨折明けで6ヶ月ぶり。調教本数も今回より少なかったが、前半33秒5で飛ばし、1分09秒9(不良場馬)。最後は流し気味になる3馬身差の楽勝だった。

 仕上がりやすく、気力で走ってしまう気のいいタイプであり、前回より仕上がりはいい。

 好タイムは渋馬場でのものだが、520キロ台のパワーあふれる馬体から、良馬場の力の要るコンディションもまったく苦にしないはずである。スタート地点は中山のダート1200mそのまま裏返しにした形で、外枠のほうがだいぶ有利であり、幸運にもアースゼウスは偶数の14番を引き当てた。

 ペイシャモンシェリ、マキャヴィテイは軽視できないが、コース実績からひと叩きしたノウレッジ(父ストリートセンス)は、互角以上の評価で2番手の筆頭。穴馬には、テイクファイアキンシザイルシュトラールを考えたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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