2004年06月02日(水) 11:20
キングカメハメハが残した衝撃、それは常識へのチャレンジがどれほど大きな意味を持つかを示したことにあります。新しいかたちでのダービー制覇。クロフネ、タニノギムレットの2頭が踏んだ過程は、それが成し遂げられなかったことで否定されていました。
今年は、3度目に挑んだ松田国英調教師にとってその信念を貫くラストチャンスだったのかもしれません。
マイル戦は、その馬の力を推し測るベースになる距離とはよく言われてきました。そこである程度は将来性がつかめるのです。
事実、多くの馬がマイルで力量を発揮し、クラシックのタイトルを勝ち得てきました。それは、新馬戦からスタートし、少しずつ距離をこなしながら頂点を目指す、クラシックロードの中でも証明できるものかもしれません。
ところが日本の場合、3冠レースという意識が強く、皐月賞2000mがその第一ステップにあることで、従来からの考え方を打破するというところになかなかいかない事情があり、比較的新しいタイトルのNHKマイルCは別とみられています。
マイル路線の中に組み入れ、その適性を問うというニュアンスばかりが強調されてきました。しかし、今年のキングカメハメハの変則2冠達成は、或いは、本来あるべき実力を問うことであったのかもしれません。
事実、皐月賞を回避してでもダービーを第一目標にしたいという考え方が、少しずつ増えているように思えます。第1冠は無理しなくてもいいということになれば、NHKマイルCとダービーを狙っても不思議ではなくなります。そして興味は、この先に広がっていきます。キングカメハメハの3冠目の目標がどこにあるかです。新しいかたちの3冠馬、こんなことがあるのかどうか、にわかに判断はできませんが、今後の活躍次第では新しい波を呼ぶことになるかもしれません。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。