2015年09月19日(土) 12:00 19
とはいえ、来年には海外レースの馬券発売が解禁されるわけで、ここは“空白期間”を作らないためにも、レースの予習をしておくことにしましょう。
では、3つの前哨戦の結果から。今年はすべて1番人気に推された馬が勝ちました。これはちょっとした“珍事”。少なくとも過去5年の間にはなかったことです。
まず、3歳牡牝馬のニエル賞はNew Bayが優勝。5月の仏ダービー、8月のギヨームドルナーノ賞(G2)に次いで重賞3連勝を飾りました。
3歳以上牝馬によるヴェルメイユ賞はTreveが2着馬に6馬身差を付けて圧勝しています。去年の凱旋門賞で連覇を果たした同馬はその後休養入り。今年は5月にコリーダ賞、6月にサンクルー大賞典を勝ち、これが3戦目。1年間負け知らずで史上初の3連覇に挑むことになりそうです。
4歳以上牡牝馬のフォワ賞は今年のキングジョージ優勝馬Postponedが制しました。ただし、今季4戦して3着以内に入ったことがなかったSpiritjimという馬に3/4馬身差に食い下がられ、前記2頭に比べると地味な印象を受けました。
これらの結果を受けて英ブックメーカーが提示しているオッズを見ると、Treveが倍率2倍前後で抜けた1番人気に推されています。2番人気が5~6倍のNew Bayなので、その差は歴然。去年の凱旋門賞から1年経っても、Treveに太刀打ちできそうなインパクトのある馬は現れなかったと見られているわけです。
この2頭に次ぐのが、今年の英ダービー馬で、12日の愛チャンピオンSに勝ったGolden Hornと今年の愛ダービー馬Jack Hobbs。ともに8~9倍の倍率が付けられています。
あとの馬は13倍以上で、上位4頭とは大きく離されてしまいました。Postponedは最低でも15倍。去年の2着馬Flintshireは、8月に米サラトガ競馬場のスウォードダンサーS(G2)に勝って今年5戦目で初勝利(2着3回3着1回)をマークしましたが、倍率は26倍以上で大穴の評価にとどまっています。
前哨戦の結果とブックメーカーのオッズから浮かび上がってきた今年の凱旋門賞の構図は“Treve対3歳馬=仏、英、愛ダービー馬のトリオ”。もちろん、それらの馬がすべて本番に駒を進めれば、の話ですが。これにドゥラメンテが加わって“3歳馬カルテット”になっていたら…。いや、そうでなくてもやはり凱旋門賞らしい構図にはなっているようです。
矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。