2015年11月13日(金) 18:00
◆2歳戦線は遠征競馬での活躍にも期待
11月12日に行われた道営記念をもって、ホッカイドウ競馬の今シーズン80日間の開催がすべて終了。4月22日にスタートしてからの約6カ月半はほんとうにあっという間だった。その最終日には現地に足を運んだが、雪や暴風で開催が危ぶまれた昨年の最終日とは違い、天候に恵まれた。とはいえこの時期は一気に冷え込むようになって、最終レースの道営記念のころには気温が0度近くまで下がったようだった。
ここ2年ほど地方競馬は全国的に売上が回復しているように、今シーズンのホッカイドウ競馬でも、発売額169億13万円余りは、計画比で113.5%、前年対比で107.6%。1日当たりの発売額でも昨年度の1億9633万円余りから、今年度は2億円超の2億1125万円余り(前年対比は107.6%)となった。
ちなみに発売額全体に占めるネット(電話)投票の割合は71.3%。競馬全体で年々その割合が増える状況にあって、ホッカイド競馬は特にその割合が高く(80%近い高知に次いで、地方競馬の中では2位)、好調な売り上げはネット投票によって支えられていると言っていいだろう。
ホッカイドウ競馬といえば注目となるのが2歳戦だが、JpnIIIのエーデルワイス賞、北海道2歳優駿をタイニーダンサーが連勝。同馬を管理する角川秀樹調教師は、門別で行われる2歳重賞11レースのうち、8レースを制するという、ほぼ独占に近い活躍だった。角川調教師は2009年にも、エーデルワイス賞をオノユウで、北海道2歳優駿をビッグバンで制したのをはじめ、当時行われていた門別の2歳重賞8レースのうち7レースを制したこともあった。レベルの高いホッカイドウ競馬の2歳馬の中では、角川厩舎の層の厚さは相変わらず圧倒的だ。
しかし調教師リーディングで1位となったのは、102勝で田中淳司調教師。開業9年目で初めての北海道リーディングに輝いた。勝率21.3%、連対率40.0%というのもトップ。2歳馬の活躍がダントツの角川調教師に対して、田中調教師は、中央のオープンや準オープンから転入してくる古馬の活躍が目立っている。特に今シーズンはそうした馬たちが全国レベルで活躍。サンバビーンがグランダム・ジャパン古馬シーズンの女王となり、グランシャリオ門別スプリントを制したポアゾンブラックは北海道スプリントC、クラスターCと、交流のJpnIIIでも2着が2回。そしてグランプリブラッドで道営記念を制してシーズンを締めくくった。
また2011年から昨年まで4年連続でリーディングだった原孝明調教師は、今年はリーディングこそ2位だったものの、管理馬ではアウヤンテプイが短距離路線で相変わらずの活躍を見せ、また北海優駿のスタートでの落馬は残念だったものオヤコダカが3歳二冠を制するなど、重賞戦線でも存在感を示した。
騎手では、23年目のベテラン五十嵐冬樹騎手が北海道所属騎手としては今シーズン唯一の100勝超えとなる106勝を挙げ、2009年以来6年ぶりにリーディングに返り咲いた。道営記念終了後、スタンド内では恒例の騎手とファンの交流イベントがあり、リーディングの表彰も行われたが、五十嵐騎手はむしろ「重賞をひとつも勝てなかったので……」という残念な思いも語っていた。
重賞で活躍したのは、桑村真明騎手6勝に、阿部龍騎手4勝。ともに、2歳の重賞をほぼ独占した角川厩舎の所属で、リーディングでもそれぞれ2位、3位という成績を残した。
ホッカイドウ競馬の開催は終了したが、2歳戦線では、前述のエーデルワイス賞、北海道2歳優駿の両JpnIIIを連勝したタイニーダンサーだけが抜けて強かったというわけでもないので、このあとの遠征競馬での活躍にも期待したい。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
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