目下3連勝中の上がり馬に期待/ステイヤーズS

2015年12月04日(金) 18:00


スローなら3000m以上の距離での成績はそれほど重要ではない

 芝コンディションの設定の違いもあるが、菊花賞3000mの勝ちタイムは、20年前よりだいたい「3〜4秒」速くなった。3200mの天皇賞・春の勝ち時計もだいたい同様で、20年前より「3〜4秒」速くなっている。

「長距離戦こそ、レベルの違いは時計に出る」と考えられているが、ステイヤーズSのレコードは1994年にエアダブリン(父トニービン。ダンスインザダークの半兄)が記録した「3分41秒6」であり、最近数年の勝ちタイムは「3分45〜47秒台」が一般的である。これは約30年前とほとんど同じ走破タイムになる。

 G2のステイヤーズSにはG1級が出走することはめったになく、マイル〜中距離指向が進んだ現在、ステイヤーズSには出てこないAクラスの馬はともかく、全体に長距離部門の進展(変化)はほとんどない。また、これには、3000m級になると著しい「スローペース」が関係するだろう。昨年は、3600mを3等分すると「1分16秒5-1分19秒1-1分12秒2」=3分47秒8だった。

 いかに途中までスローとはいえ、後半はスタミナがなければ勝ち負けに加わることはできないが、2400〜2600mをそれなりの時計で乗り切れるスタミナ能力があれば、3000m以上の距離での成績はそれほど重要ではないともいえる。典型的なステイヤーはいないからである。

 R.ムーア騎手の乗る目下3連勝中の上がり馬アルバート(父アドマイヤドン)中心。2400で2連勝している。ステイヤーという血統背景ではないが、母フォルクローレは、ディープインパクトの日本ダービー2400mを2着したインティライミの半姉。その父ダンスインザダーク(菊花賞馬)は、前出エアダブリンの半弟である。

 アドマイヤドンの父ティンバーカントリーが、種牡馬としてドバイでも供用されたのは、その母が名牝フォールアスペンだから。ティンバーカントリーの半姉コロラドダンサーは、泣く仔も黙るドバイミレニアム(産駒ドバウィ)の母である。

 ドバイミレニアム、ドバウィ父子の大活躍は知られ、ジャパンCにはイラプト(父ドバウィ)が来た。日曜のチャンピオンズCには、ガンピット(父ドバウィ)が挑戦してきた。今日(土曜日)の金鯱賞(中京)の人気馬ディサイファの母は、数少ないドバイミレニアム直仔である。ムーア騎手は今春、ドバウィの代表産駒のアルカジームに乗ってG2を勝っている。

 スローで楽に先行できそうなメイショウカドマツ(父ダイワメジャー)が強敵だが、穴馬は状態が良くなり、今回はブリンカー装着のマイネルメダリスト(父ステイゴールド)か。2400m以上で5勝もし、昨年の目黒記念を好タイムで勝っている。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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