底力勝負から抜けだしたのはすごい牝馬というしかない
昨年、勝った
ホッコータルマエの0秒4差4着(単勝67.4倍)に食い込んだとはいえ、今年、6歳の晩秋を迎えた
サンビスタ(父スズカマンボ)が、再び単勝オッズ(66.4倍の12番人気)にとどまったのは仕方がないところがある。ジャパンCダート当時から通算し過去15年、これまで牝馬は【0-0-0-16】。それがこのダートG1の歴史である。
ところが、人気の
コパノリッキーも、ホッコータルマエも、厳しい激戦に抗しきれずに失速したのに、力強く伸びて完勝したのは牝馬サンビスタだった。恵まれた勝利ではない。着差以上の完勝、実力勝ちである。芝のレースだと、「展開(流れ)が…」とか、「馬場が…」などの勝因・敗因が成立するが、3ハロン目からゴールまで、7ハロン連続して「12秒台」のラップが刻まれた底力勝負で、中団のインで大型の男馬に囲まれながら、直線に向くと猛然と割って抜けた。すごい牝馬というしかない。ジャパンCのショウナンパンドラにつづき、頂点のGIを制したのはまた牝馬だった。
引退時期を延ばした今年は、57-58キロの負担重量も関係し、同じ牝馬の5歳トロワボヌール、さらには3歳牝馬のホワイトフーガに屈するレースもあったが、強気に再挑戦したこのGIで驚くべき底力を爆発させたのは見事というしかない。
素晴らしい状態に仕上げた角居厩舎のスタッフも、絶妙の乗り方で勝負強さをフルに発揮させたM.デムーロ騎手も、絶賛されていい。男馬をダート戦で蹴散らしたのは、しかし、サンビスタ自身の能力全開のがんばりである。この強さはどこからくるのだろう・・・
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
柏木集保「重賞レース回顧」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。
※マイページ、メール、プッシュに対応。
-
柏木集保
-
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。