HBAセレクションセール

2004年07月20日(火) 20:31

 7月19日と20日の両日にわたり、静内の北海道市場にて「セレクションセール当歳」及び「セレクションセール1歳」が開催された。

 前週のノーザンホースパークにて開催されたのが「セレクトセール2004」、そして次週の静内が「セレクションセール」。名前は似ているが中身はかなり「似て非なるもの」である。308頭の上場に対し落札が234頭。売却率76%、売上げ総額は税込みで80億円を突破したセレクトセールの後を受け、19日に行われた「セレクションセール当歳」は、122頭が上場され、49頭が落札。売上げ総計は税込みで6億5709万円という結果だった。

 もちろん、セレクトセールと比較するとあまりにも数字が違い過ぎるのだが、それでも今年は昨年の数字をかなり上回る好成績を残したと言える。静内のこのセレクションセールは、昨年83頭中、29頭の落札に終わり、売上げ総額3億5044万円(税込み)、売却率も34.9%という結果に終わっていたことを考えると、大健闘と言わねばなるまい。何しろ、2年前の2002年(当時は北海道7月当歳市場という名称)には、60頭中12頭しか売れず売却率20%、総額1億3千万程度の売上げしかなかったのだ。社台グループに倣い、「良質馬は市場に上場させる」という姿勢が徐々に定着してきた結果がこの数字となって表れたのであれば、本当に良いのだが。

 さて、翌20日のセレクションセール1歳は、まだすべての結果が出ていないため、途中経過を紹介するだけにしたい。この原稿を書いている時点(20日午後5時17分現在)では、名簿順で124番までが上場され、62頭落札となっている。欠場馬がいるため、実際の上場頭数は現在104頭。売却率は59.61%。全体では166頭が上場されることになっているのでまだしばらくかかりそうだ。

 因みに昨年は、168頭が上場され、88頭が落札。総額9億1654万円(税込み)の売上げを残した。売却率52.4%。今年はこの数字を上回ることができるだろうか。

 ところで、20日の1歳市場にて、注目を集めたのは上場番号30番の「ユーザーヒストリーの15」。この日唯一のサンデーサイレンス産駒である。マスコミの取材も多く、サンデーのラストクロップとなるこの牡馬が果たしてどれだけの価格になるものかと期待されたが、上場直前になって「ドタキャン」してしまい、報道陣も騒然となったらしい。

 今の時点で真相はまだ分からないが、午前中の比較展示の場には確かにいたのだ。それがセリ開始(午後1時)までの間に、何らかのアクシデントにより、いきなり欠場となったわけである。他の馬ならいざ知らず、もしこのサンデーサイレンス産駒を競り落とすために市場に足を運んだ購買者がいたとしたら、これは何とも残念な結果だ。疾病によるものか、待機馬房で怪我でもしたものか、いずれにしても、注目の上場馬だっただけにとても気になる。

 余談だが、10年も前になるだろうか、S牧場の1歳馬(当時は2歳と称した)が、セリで落札された後、待機馬房の中で突然腹痛を発症しそのまま息を引き取ったことがある。

 上場する馬を抑えきれずに放馬したり、蹴られて救急車で運ばれる人もいたりと市場はハプニングの多い場所だが、こんな馬の事故も起こるものなのか、と驚いたのを思い出す。

 今回のサンデー産駒のケースはいったいどんなことだったのだろう。市場開催者の日高軽種馬農協にとっても、無事ならば5000万円は下らぬ売上げがふいになるわけで、売買手数料の収入減も痛いが、何より展示までした馬を上場できなかったのは市場の信頼性に響きかねない問題である。かえすがえすも残念でならない。(追記、午後6時02分現在、82頭落札、売却率60%をクリアしている。昨年の数字は上回りそうな気配だ)

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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