2016年01月21日(木) 12:00
個々にはそれぞれ適性があり、そのなかで本領を発揮する、それこそが豊かさを生み出しているという事実、これは紛れもないことだ。自分勝手ではなく、自らの足場を固めながら行動する、そういう意味での自分本位であっていい。レースの中に、この自分本位を見ることがよくある。
日経新春杯を勝った4歳馬レーヴミストラルの戦い方はそれだった。川田騎手が言うように、求めても自分で進んで行くタイプではないからといって、1000米通過が62秒0というスローペースを最後方から悠然と構えていた。松田博調教師の、「トモがしっかりとして本当に良くなっている。素質は確か、この距離で改めて期待したい」という言葉を裏付けに、昨年、青葉賞を勝ったことを思えば、鞍上の落ちついたプレイも想像できた。直線のゴーサインで一気にトップスピードに乗り、全馬を外から抜き去ったのだから、本領を生かす自分本位な勝ち方だった。
完全無欠な馬は滅多に出現するものではない。それぞれがその適性のなかで精一杯その本領を生かそうとするのが競馬なのだという捉え方でいいのではないか。私などは、そういう勝者を毎週、もとめ続けているのだ。
そこへいくと、京成杯の勝ち馬プロフェットには、3歳馬だけに未知の部分が多すぎた。アイルランドの若手、フォーリー騎手のレースの読みが適確だったことが大きく、その判断に応える素質の良さがプロフェットに備わっていたということではないだろうか。能力が高く、根性もあり、乗りやすくて頭のいい馬。作戦も立てやすく、まだまだ成長の余地があるというジョッキーの言葉から、将来性の高さを感じるが、この馬の本領を生かす自分本位の戦い方とはなにか。しぶとく、いいスタミナはありそうなので、その面からじっくり見ていくことになりそうだ。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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