天変地異の中での実況

2004年07月28日(水) 14:57

 この夏は、実に厳しい天候が続きます。新潟は特に激しく、暑いだけでなく、先日は雷鳴とどろく中での収録を経験しました。

 ドカーン、ドカーンと始まったかと思うと今度はドシャ降りの雨。異様な状況に気持ちがなえないよう平静を装い、なんとかやり通したのですが、番組を見ていた友人から、まるで戦場の中の放送みたいだったと言われました。

 実況放送では、このようなことに遭遇することは、ままあります。覚悟を決めて臨むしかないのですが、新潟競馬といえばこんなことがありました。

 今から15年ほど前のことですが、ハンデ戦のメインレースのスタート直前から一転にわかにかき曇り、やがて、バケツをひっくりかえしたような雨が。つれて、雷鳴とどろき、あちこちで光の柱が走り、怖いぐらい。それでもレースはスタートしました。とにかくどしゃ降りですから、ハンデ戦といってもどの馬もぐっしょり濡れて重くなっているはずです。確か52キロの馬が勝ったのでしたが、レース後検量室に急いで行って勝ち馬の騎手に聞いたところ、雨に濡れて2キロも重くなっていたということでした。

 天変地異は仕方なくとも、その中でも地震は特に対処の仕様がありません。

 昔、中山競馬場でレース中に大きな揺れを感じたことがありました。双眼鏡をにぎって4角にさしかかる馬群をしゃべっているときでした。実況アナウンサーがしゃべるのを止めるわけにはいきません。スタンドの揺れの中、必死にゴールインまで持っていったのですが、レースが終わって横を見たら、解説者氏二人とも、立ち上がって後ろの部屋に避難していたのです。身の危険を感じての行動ですから仕方ないのですが、実況アナウンサーはこういうときどうすればいいのかと、ディレクターに喰ってかかったことがありました。
 どうであれ、運命ということでしょうが。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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