2016年01月28日(木) 12:00
一頭の競走馬は、人の強い思いを背負って走る。競走馬として完成する時期は、その馬によって異なる。東海ステークスで初めて重賞を勝ったアスカノロマンは、正にこれからが完成のとき。これまでは、一度実戦を使うと一気に消耗してしまうので、目標を前に力を使い果たすをくり返していた。能力は高い、これで手加減せずに準備できるようになればという確信を探る思いが続いていたのだ。それが昨秋あたりから立ち直りが早くなり、手応えを感じている中での今回の勝利で、すっかりこの馬としての完成期が見えてきた。ゆっくり成長してきたアスカノロマン、7度目の重賞戦でステップアップできたのだった。層の厚いダート界にあって、ここで得た賞金は大きく、これからは出たいところに出られる。
アメリカJCCを勝ったディサイファにも同様のことが言える。こちらは如何にも大器晩成で、早くからこれは走ると期待されていたが、勝負どころで淀んでしまう走りからレースで苦しい情況が続いていた。それでも無理はさせず、じっくり成長する期を待ち続けてきた結果、今日を迎えることができたのだ。気負うことなく滑らかに力強いケイコができるようになったのは、何よりも馬体がしっかりしてきたことによる。好スタートを切ったことで、武豊騎手が思っていた位置取りができ、勝負どころでは自ら動いて行き、見違えるような走り方だった。次はどうする、そんな思いを強くする。いよいよ本物になれる。ドバイか香港か、その先の国内のGIか、こうありたいという思いが届くところまできている。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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