サマーセール始まる

2004年08月03日(火) 20:18

 日高軽種馬農協主催の「サマーセール」が8月2日より静内の北海道市場を会場に始まった。

 今年は当初5日間の予定が1日短縮され、2日より5日までの4日間となった。上場予定馬は名簿上では1156番まであるものの、初日(8月2日)の上場頭数から判断すると全体では昨年並みの1000頭程度になるのではないだろうか。

 その初日は、256頭(牡139、牝117)が上場され、70頭(牡46、牝24)が落札、売却率にして27.34%という結果だった。前節と後節に分かれ、計6日間に及んだ昨年のサマーセール初日と単純比較することにあまり意味はないかも知れないが、昨年の場合、初日は187頭(牡121、牝66)が上場され、落札33頭(牡22、牝11)、売却率17.64%に終わっただけに、この数字から見ればまだ「上々の滑り出し」と言えるのかも知れない。

 昨年は総計で1010頭の上場、落札が226頭、売却率にして22.4%、売上げ総額が13億5255万円余だった。その前年(2002年)は、1078頭中266頭の落札で24.68%、総額で15億7685万円余。更にその前年(2001年)は1044頭中、325頭の落札で、売却率31.13%、総額20億7233万円余と、このところ年を追うごとに数字を落としてきていただけに、残り3日間の結果に目が離せないところだ。

 かく言う私も、4日(水)に、生産馬を1頭上場させる予定でいる。メジロライアンの牡馬で、母は岩手で走ったテツノシルフィードというテンパレートシル産駒。トウケイニセイの妹である。

 明日の出番を控えた前日にこの原稿を書いているわけだが、生産馬の晴れ姿を楽しみにする心境にはほど遠く、不安感の方が強い。市場に生産馬を上場させることが、むしろ「苦しみ」となってからずいぶん経つ。その最大の理由は「思うように売れない」からであり、いっそ売れないと完全に覚悟を決めて臨めば良いだけのことかもしれないが、やはりそこは生産者の贔屓目もあって心のどこかに「ほのかな期待」を抱いているものなのだ。

 多かれ少なかれ、これはどんな生産者にも共通する心理だと思われる。「100%売れない」のならば、最初から市場に上場申し込みなどしない。たとえごくごくわずかでも「売れるかもしれない」可能性があるから、その小さな可能性に「賭ける」のである。

 明日は長い一日になるだろう。上場馬はすでにとあるコンサイナーに預けてあり、馴致とシェイプアップをお願いしてある。年々、分業化が進み、今では市場への上場のため、前もってコンサイナーに生産馬を託す牧場がかなり多くなってきた。

 もちろん、それには料金がかかるわけだが、周囲の馬がコンサイナーの手によって綺麗に仕上げられて市場に連れてこられると、どうしても差ができる。その差を埋めるためには、自分でもできる限りの「仕上げ」を施すか、さもなくばどこかに「お願い」するよりないわけである。

 今年の場合、日高の市場は、7月19日と20日の両日に「セレクションセール」が開催され、二週間後に「サマーセール」という日程となった。そのために、どのコンサイナーもかなり過密頭数となってしまい、私自身も生産馬の預託先を確保するのに苦労させられた。普通預かった1歳馬を仕上げるのに2ヵ月程度は必要だと言われているので、どのコンサイナーも仕事が集中して大変だったと思われる。

 さて、いよいよ明日。果たしていかなる結果が出るものやら・・・。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

新着コラム

コラムを探す