2016年02月11日(木) 12:00
さて、果たしてそうなるだろうか。時を待っているのは、他にもいるのがクラシック戦線、一瞬の休みもなく力をたくわえるものもいる。そう考えるのが普通ではないか。多くは、時の来るのを信じて力をたくわえ、その時を待っている。その時を待つ心は、春を待つ心にも似ている。静かにじっと何もせずにいるのではなく、確実に力をたくわえている。それがなければ、時が来ても事は成就しない。梅や桜の場合は、人間の力を超えた大自然の恵みを受け、それが大いなる力になっているのだが、多くは、ただひたすらの精進しかない。それに、類稀な素質が加わって、初めてその時を迎えることができる。サトノダイヤモンドのルメール騎手は、今回もライバルがいなかったと言っていた。だが、この段階で、それだけということはあるまい。たまたま、ここまでがそうであったということだ。まだ対戦していない逸材が、しっかり出番を待っている。こうでなければいけない。確実に進化している怪物にどう迫っていくか、当面はそこに興味が集中していく。時を待つものが多いほど、クラシック戦線は楽しくなる。
時を待つと言えば、東京新聞杯を逃げ切ったスマートレイアーは、ちがった意味で時を待っていた一頭だった。寒さに弱いタイプということで、厳しい寒さの中でのレースは避けていたが、例年より暖かい陽気のせいか状態がよくなっていた。只一頭の牝馬の逃げ切りで、過去2度大敗したヴィクトリアマイルが面白くなった。加えて、精神面の成長もあったということで、時を待つ力も感じられる。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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