週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

2004年09月07日(火) 19:47 0

 欧州における最高のイヤリングセール『タタソールズ・オクトーバーセール』のカタログが完成した。

 今年、ニューマーケットにおけるイヤリングセールの日程が従来と大きく変わり、昨年まで『ホウトンセール』という名称で行われてきたプレミア・マーケットが、『オクトーバーセールPart1』に吸収合併。質と量を伴った『オクトーバーセールPart1』が、791頭の1歳馬を集めて10月5日から8日まで開催されることになった。引き続いて10月11日から16日まで、掘り出し物をバーゲン価格で見つけることが出来る『オクトーバーセールPart2』が、1300頭余りの1歳馬を集めて開催の運びとなっている。

 ホウトンセールの流れを汲むPart1は、例年通りG1勝ち馬の産駒や弟妹が目白押しで、ヨーロピアンチャンピオンの係累をピックアップするだけでもかなりの数になる。

 上場番号9番の父ファンタスティックライトの牡馬は、98年の欧州古馬牝馬女王ワンソーワンダフルの半弟で、上場番号62番の父デインヒルの牡馬は、02年の欧州古馬王者グランディラの半弟。上場番号158番の父デインヒルの牝馬は、母が01年の欧州古馬牝馬女王ピッパロングである。上場番号238番の父レインボウクエストの牡馬は、00年の英愛3歳牝馬女王ペトルシュカの半弟で、上場番号524番は02年欧州古馬王者マリエンバードの半妹だ。

 今季の活躍馬の係累も多く、例えば上場番号91番の父シングスピールの牝馬は、アスコットGC勝ち馬パピノーの全妹だ。上場番号123番の父グリーンデザートの牡馬は、先週末にムーランドロンシャン賞を制したグレイリラスの半弟で、上場番号195番の父グリーンデザートの牝馬は,英2000ギニー2着馬スノーリッジの半妹である。上場番号283番の父ウォーチャントの牝馬は、愛2000ギニー馬バチェラーデュークの半妹で、上場番号378番の父キングシャルルマーニュの牡馬は、半兄にフェニックスSの勝ち馬で来季の1000ギニーの有力候補となっているダムソンがいる。

 日本調教馬関連では、上場番号1番の父ミナルディの牡馬が、ゴールドアリュールの叔父。上場番号84番の父グランドロッジの牡馬は、いとこにシンコウフォレストがおり、そのシンコウフォレストの半弟にあたるのが、上場番号154番の父デザートプリンスの牡馬だ。上場番号246番の父サドラーズウェルズの牡馬は、現役のフサイチホクトセイの半弟で、上場番号252番の父サドラーズウェルズの牡馬は、トーヨーシアトルの半弟だ。上場番号421番と上場番号470番はいずれも父グランドロッジの牝馬だが、前者はいとこにブラックタイド、後者はいとこにファインモーションやヒューマがいる。更に上場番号506番の父ピヴォタルの牝馬は、いとこにホッコービューティ、上場番号751番の父ジャイアンツコーズウェイの牝馬は、いとこにブラックホークがいる。また、上場番号752番の父フサイチペガサスの牡馬は、今年4月のトレーニングセールで欧州2歳馬歴代最高価格で購買されて日本へやってきたフサイチセイシロウの全弟で、上場番号790番の父インザウィングスの牡馬は、イブキパーシヴがいとこにいる。

 血統的にはやや劣る馬が集められたオクトーバーセールPart2も、丹念に探せば意外な良血馬が隠されているのに気づかされる。

 例えば上場番号1037馬の牡馬は、函館2歳OPのラベンダー賞を快勝したオーヴェールの半弟だ。オーヴェールの父ディクタットよりも、種牡馬としては明らかに格上のマークオヴエスティームに父が変わって、どんな子が出来ているか、楽しみである。

 マーケットの予測は難しい。サラトガ、ドーヴィルでは買い控えたマクトゥームファミリーがどれだけの投資を行うかによって、動向が大きく左右されるからだ。彼らが大商いをすれば、前年を大きく上回る高騰もありえようが、カタログが大きくなって品揃えが豊富になっただけに、これまでのホウトンセールに比べると“Buyer-friendly”な市場が展開されるのではないかと予測されている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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