ストレイトガールの与えた教訓は大きい
しかし、それにしても驚くべき牝馬がいたものである。苦しいはずの東京1600mをあっという間に抜け出し、楽々と「1分31秒5」のレースレコードで2馬身半差の圧勝。いならぶG1ホースをまったく問題にしなかった。7歳以上の牝馬がG1を制したのは史上初の快挙であり、JRAの長い歴史の中、グレード制成立以前のビッグレース(G1級)を、当時なら8歳と表記されていたはずの7歳牝馬が勝ったのも初めてのことである。
引退を撤回し、最大目標と狙ったG1に、7歳の牝馬
ストレイトガールを素晴らしい状態で出走させることに成功した陣営の手腕も、まるで勝ち馬のポジションを分かっていたかのように、流れを読んで理想の位置に導いた戸崎圭太騎手もすごいが、ストレイトガール(父フジキセキ)自身が勝ち方を知っていたかのようだった。
ストレイトガールはこれで、東京の1600mはこのG1だけに出走して「3着、1着、1着」となった。他場での6着、9着を合わせマイル戦通算【2-0-1-2】。とくに1600mを選んで出走してきたわけではない。というより、ベテラン牝馬になるまではマイル戦は避けてきたといってもいい自称スプリンター系で、1600mは自身の出走するもっとも長い距離である。馬場状態やペースを別に、ストレイトガールのヴィクトリアマイル3戦は、5歳以降「1分32秒4→1分31秒9→1分31秒5」。信じがたい記録である・・・
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柏木集保
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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。