【的場文男×小牧太】対談から2年…“大井の帝王”がもたらした心境の変化

2016年08月16日(火) 18:01 69

太論

▲「もっともっとやれるはず」対談を通じて起きた心境の変化とは

対談から早2年。9月7日で的場文男騎手は60歳、小牧騎手は49歳の誕生日を迎えます。そこで、小牧騎手の目に映る「的場文男像」を改めて語ってもらうとともに、的場騎手へのリスペクトを通して、小牧騎手自身の“今”についても語ってくれました。最後には、お二人のあいだでエール(?)の交換も。「早くゆっくり休んでください(笑)」という小牧騎手の言葉に、はたして的場騎手の反応は!? (取材・文:不破由妃子)

気持ちの強さも的場さんに負けんように

──今月は、2年前の的場さんとの対談を再掲させていただいのですが、的場さんは来月で還暦を迎えられるそうです。

小牧 スゴイ! 60歳! そういえば、誕生日が一緒やねんな。僕は来月で49歳か…。年を取ると時間が過ぎるのが早いわー。2年前、的場さんから、太腿の筋肉とか腹筋の大切さをいろいろと教えてもらって、長く続けたいならもうちょっと体を鍛えなアカンと思ったね。誰よりも必死にトレーニングをしてきたからこそ、今の的場さんがあるんやろうし。騎乗を見ていると、体力もそうやけど、気持ちの強さを感じるわ。石川昇さん、田中道夫さん、安藤勝己さん…、いろんな先輩を見てきたけど、辞める前はみんな気持ちがついていかなくなる。

──そんな的場さんも、現在は「あと1年乗れるかな」「あと半年乗れるかな」という気持ちで乗ってらっしゃるそうです。

小牧 そうやろうね。わかる気がするわ。僕は的場さんより10歳以上下やけど、今は1年1年、いや1日1日が大切やわ。そう思うことは悪いことではないのかもしれんけど、若い頃はそんなこと考えもせんかった。

──対談のとき、「僕は50歳まで乗ることが目標だったんです。50歳まで乗れたらすごいなと思ってます」とおっしゃっていましたね。その50歳まで、あと1年と少しです。

小牧 そうやねぇ。さっきも言ったように、この年になると年々1年が早く感じる。だから乗り続けられるのかもしれんね。すごいスピードで毎日が過ぎていくから、辞めようなんて考える暇がないんやわ(笑)。

太論

▲2年前の対談時「50歳まで乗れたらすごいなと思ってます」

──その調子で、小牧さんにはいつまでも現役バリバリでいてほしいです。目指せ60歳!

小牧 大ケガさえしなければ、いつまででも乗れる自信はあるよ。あとは、いつまでも「乗せたい」と思ってもらえるジョッキーでいないとアカンね。

──的場さんのような存在は、やはり刺激になりますか?

小牧 それはもちろん。それ以前に、川原(正一騎手・57歳)さんという存在がすぐ近くにいるからね。あの人も、まぁ元気やわ(笑)。的場さんにしても川原さんにしても、体重が軽いのは羨ましい。ただ、たとえば「56キロ以上しか乗らない」とか決めてしまうと、途端にそういう体になってしまうから、それだけはせんとこうと思って。今日も朝から走ってきたわ。ランニングマシーンで90分!

──ここ数年の小牧さんは、いったん減量モードに入ると本当にストイックですよね。

小牧 的場さんの影響もあるよ。確かに今は減量に苦労されていないのかもしれんけど、的場さんは誰よりもストイックに体の維持に努めてはったからね。2年前の対談で、「もっともっとやれるはず。やることやらなアカン!」と喝を入れられた気がしたし、実際、それから体作りの取り組み方も変えたしね。それにしても、的場さんはホンマにすごい。僕に置き換えてみれば、あと10年乗るということでしょ? しかも第一線でね。同じジョッキーだから、なおさらその凄さがわかる。

太論

▲8月1日には通算6,900勝を達成。還暦を前にしても“大井の帝王”はまだまだ健在!

──では最後に、的場さんとのコラボ企画の一環として、的場さんに一言エールをお願いします。

小牧 これからも頑張ってください!……と言いたいところだけど、逆にいつまで乗る気ですか(笑)!? 的場さんが乗っている以上、僕らは辞められませんから! 早くゆっくり休んでください(笑)。

──小牧さん、エールになっていません(苦笑)。

小牧 冗談です(笑)。体の維持もそうやけど、気持ちの強さも的場さんに負けんように、僕もまだまだ頑張りたいですわ。

「時代を築いた男たち」の強烈(!?)エール交換

【小牧騎手→的場騎手へ】

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【的場騎手→小牧騎手へ】

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(了)

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小牧太

1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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