平成16年度上半期開催成績

2004年11月09日(火) 20:22

 先週この欄で取り上げた静内・北海道市場での「1歳馬展示会」(11月19日開催予定)の申し込み頭数がまとまったらしい。主催の日高軽種馬農協に問い合わせたところ約240頭の応募があったそうだ。

 案内文書によれば、申し込みをしたからといって展示会に必ず出品しなければならないわけでもないらしく、事前に庭先で売買が成立すればそれはそれで構わぬ、ということらしい。とにかく、未売却馬を1頭でも減らしたいとの思いからの発案であることには違いなく、何とかここで多くの1歳馬の行き先が決まることを切に願うのみである。

 さて、今年度上半期における地方競馬開催成績(全国公営競馬主催者協議会の集計、発表)が先月まとめられた。言うまでもなく、生産地にとって地方競馬の動向は文字通り「生殺与奪の権」を握られているようなもので、地方競馬の馬券売り上げが即座に私たちの生産する馬の売れ行きに影響を及ぼす。

 しかしながら、結論から言うと、売り上げが前年と比較して増加したのは道営札幌開催のみ。あとはいずれも減少する結果となり、各地で浮上する存廃問題と合わせ、一段と厳しさを増した感がある。

 今年度4月より9月までの上半期に全国で開催された地方競馬は176回899日(対前年度比85日減、ただしここには上山57日間を含む)。入場者数は延べ341万5843人(対前年度比88.6%、1日平均3800人、同97%)。そして売り上げ総額は2100億4501万円(対前年度比87.8%、1日平均2億3364万円、同96.1%)。ある程度予想はしていたものの、こうしてみると本当に厳しい数字になっていることを痛感する。

 総売り上げを開催日数で割った1日当りの平均売り上げは、前年の上山開催分を除いて計算し直すと、92.2%まで下落するという。それを裏付けるように、札幌開催での“貯金”に支えられ上半期を通じて前年比で104.8%の売り上げ(1日当り)を確保した道営を除き、後は良くて前年比90%台、80%台まで落ちている競馬場も少なくない。

 中でも、深刻な下降線を描いているのは、9月以来廃止報道に揺れる笠松である。4月から9月までの上半期で、笠松は55日間の開催を行い、売り上げ合計は62億8748万円余。1日平均約1億1431万円余。対前年度比で75.6%と最も大きな落ち込みとなった。

 今春より、厩舎関係者のご夫人たちが中心となって『笠松愛馬会』なる団体を結成し、様々な活動を展開してきたことは以前この欄でも書いた。だが、この数字は、いったいどのように解釈、分析すべきだろうか?ここまでの落ち込みようは、やはりいくら何でも酷すぎるとしか思えない。

 同じ東海地区の名古屋競馬場も、来年のJBC開催が決定したとはいえ、こちらも前年と比較すると1日平均で82.4%。かなりの下落である。また「地方競馬の優等生」と称された岩手県も、盛岡、水沢ともに10%以上の下落となり、トータルで前年度比86.8%。首都圏の南関東は4場で93%。兵庫県でも園田と姫路合わせて84.4%。ハルウララ休養のあおりを受けた高知は88.8%(いずれも1日平均)と売り上げを減らしている。

 止まるところを知らないような売り上げの落ち込み。地方競馬の不振が生産地に暗い影を落としているのは間違いないのだが、それにしても、これを回復させる有効な手段はどのようなものだろうか?どんな方法が考えられるだろうか?

 11月10日は、いよいよ群馬県知事とライブドア社長の堀江氏による会談が予定されている。「民間参入」をキーワードに果たしてどのような内容の地方競馬再建策が話し合われるものか、注目したいところだが…。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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