2004年11月30日(火) 15:13
残りのチャンピオン・シリーズが師走のターフをにぎわすことになります。ここを目標に精一杯の戦いがくり広げられますが、最大の関心は年度代表馬。当然、有馬記念の結果次第のところがあり、春二冠の3歳馬キングカメハメハが引退した今年、果たしてこれを超える馬がいるかどうかでしょう。
ジャパンCを勝ったゼンノロブロイが、秋のチャンピオンロード3連勝を達成できるか。そうでなかった場合の選考は、大波乱ということになりそうです。
こうしたタイトル争いとは別に、レースを盛り上げてくれるのが逃げ馬です。
かつて、鉄砲玉より速いといわれたゲイルスポートという馬がいました。これこそ韋駄天と呼ぶにふさわしい馬だったと、今改めて思い起こしています。
昭和57年の皐月賞で大外枠を引きながら一気に飛び出し、2ハロン目に10秒台のラップをつくってレースを引っ張りました。
いつもこの手しかないのを知っていて逃げたゲイルスポート。手の内を隠せずに戦う姿に心を奪われたファンも多勢いました。
そして、そのゲイルスポートの逃げを利用するものがいて、勝者は決まってそういう馬でした。でも、負けたゲイルスポートをみじめと思ったことは一度もありません。果敢な姿に、むしろ拍手を送っていたものです。
大レースになればなるほど、そうした果敢に戦うシーンを望んでいます。人を感動させるのは、そうした馬たちです。そして、逃げ馬を馬鹿にするようなことがあったとき、思わぬ落とし穴が待っているのがレースです。
ストロングエイト、ニットウチドリのあのシーンが、今年の有馬記念で見られる確率は低いでしょうが、その少ない確率にチャレンジするものが出て来ないものか、久々に、そういうレースを見てみたいと空想するのですが。とにかく、各馬には盛大に戦ってほしいものです。師走、残り少なくなりました。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。