【障害レースを語ろう】西谷誠騎手×高田潤騎手(2)『勝利騎手が明かす、大障害コースの勝負の分かれ目』

2016年12月12日(月) 12:01 39


高さ160cm幅2m以上の大生垣や大竹柵に、深さが約5mもあるバンケット。GIだけに使われる中山の大障害コースは、迫力ある特別な舞台です。4100mという長距離戦でもある勝負のポイントはどこなのか? なんと、上手くいかないと何馬身もロスになるという要注意箇所があるそうで……。戦いの前に手の内を明かした高田騎手も、「他のジョッキーが読むかもしれん!」と後悔!? (取材:東奈緒美)


※取材日は11月24日。西谷騎手が騎乗予定だったサナシオンは右前浅屈腱炎発症のため、12月3日付で登録抹消となりました。本文ではサナシオンのこれまでのレースについて触れている箇所がございますが、引退に寄せて、西谷騎手から改めてコメントをいただきました。

【西谷騎手のコメント】

『レッドキングダム(14年中山大障害など)が引退した時に“このクラスの馬はもう出てこない”と思ったら、サナシオンが出てきました。外から見ると低くて怖い飛越でしょうが(笑)、実際に乗っていると無駄が無く、障害の高さによって飛越を変える“天才”でした。いろんな競馬場で勝ってるので、その強さは証明済みでしょうが。日本のジャンプレースの完成形と思った馬です。

 その証明に、今年こそGIのタイトルをサナシオンと獲りたいと思っていましたが、屈腱炎のため引退になりました。ただ、幸い程度は重くないので、乗馬で頑張ってくれると思います! 夏に会いに行く予定です。ちなみにレッドキングダムには、今年の冬に鹿児島まで乗りに行きました。サナシオンにも乗れることを楽しみにしています』

おじゃ馬します!

▲“日本のジャンプレースの完成形”と西谷騎手も称えた(撮影:下野雄規)


(前回のつづき)

コース図を見るだけではわからない難しさ

 障害の“最強馬決定戦”という中山大障害は、レース自体もすごく難しそうです。大生垣や大竹柵という大きな障害がありますが、どこが一番難しいですか?

高田 一番難しいところは、バンケットでしょう。赤レンガ(大生垣)の前のバンケットじゃない?

西谷 うん、俺もそこだと思う。あそこが一番難しい。

 おふたりとも同じ答えなんですね。それはどうしてなんですか?

高田 バンケットって、全部で1、2、3…6回通るんやね? そのうちの2つ目と4つ目の2回が大障害コースの深いバンケットなんやけど、8の字にクロスしてて。最初の大竹柵に向かっていくところはバンケットを下りる前に大竹柵が見えるので、位置を確認してからそっちに向かって下りて行くんやけど…

西谷 そこで位置を確認しないで下りてしまったら、どこに上がっていいか全然分からないのでロスになったりするんだけど…もうひとつの赤レンガの方がね。

高田 うん。赤レンガに向っていくところは、下りる時に障害が見えないの。コース図では8の字に見えるんやけど、実際には直線になってないので線で結べないというか。下りる時に赤レンガの位置が見えないし、下りて行くとコース2本分の幅があってむちゃくちゃ広いから、あそこで馬が広がるんだよね。

西谷 そう。そこで皆が主張して来る。

高田 広い分ある程度自分が行きたいところは通れるから、どこに上がって行ったらベストなのかを考えて乗るんだけど。あそこでの距離ロスはかなりあるからね。いや、本当に、あそこで何馬身と変わって来るから。本当に難しいよね。

おじゃ馬します!

▲バンケットから障害へのアプローチが難しい、と高田騎手

西谷 難しいね。しかも、赤レンガを飛んで次の障害までのアプローチもすごく難しいじゃない。赤レンガを飛んだらすぐ曲がるんだけど、それがほぼほぼ90度にカーブしてて。

高田 あのコーナーはめっちゃ急やからね。

西谷 でもさ、あそこの乗り方が巧いやつは、・・・

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東奈緒美・赤見千尋

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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