週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

2004年12月21日(火) 16:54

 アメリカの競馬日刊紙デイリー・レーシング・フォームが、2004年に世界で施行されたレースの『賞金総額ベスト100』のリストを作成し、12月18日付けの電子版で公表した。

 これによると、ベスト100のほぼ半数を占める47が日本で行われたレースであるとし、わが国の競馬が相変わらずリッチな賞金に恵まれていると論じている。

 折しも、日本に2つある競馬統括団体の1つJRAが、2005年以降の競馬番組上の外国産馬の取り扱いについて発表。2007年までに、父内国産馬限定の中日新聞杯と、2歳限定および3歳限定重賞を除く全ての重賞が国際競走となることが明らかになった直後だけに、このリストは大きな反響を呼ぶ可能性がある。私のところにもアメリカの知り合いの記者から、JRA発表の詳細について問い合わせる旨のメールがあった。

 2004年賞金総額ベスト100のトップは、ドバイWCの600万ドル。続く2位が467万4818ドルのジャパンCで、日本のレースはこのジャパンCを筆頭に上位12レースのうち8レースを占めている。このうち、総賞金252万7166ドルで世界9位の天皇賞・春と、240万8553ドルで世界11位の天皇賞・秋が、2005年に国際競走となる。これは外国の関係者にとって相当魅力的なはずで、例えばメルボルンCを目指すような豪州のトップステイヤーが、秋の目標として(南半球は秋、北半球は春)春の天皇賞・春に照準を絞ることも出てくるはずだ。

 ちなみに2007年までには、330万3107ドルで世界5位の有馬記念と、169万ドルで世界34位のフェブラリーSという、2つのG1が国際競走となる予定となっている。このうちフェブラリーSは、ダート1600mというブリーダーズCには無い競走条件だけに、アメリカの陣営がどう反応するか興味深い。11月末のシガーマイル上位馬あたりが次の目標として視野に入れてくれるようになると、相当なメンバーが来日する可能性がある。

 障害戦に限ると、04年の賞金リスト首位は145万8151ドルの中山大障害で、2位が140万8355ドルの中山グランドジャンプ。3位がグランドナショナル(109万3080ドル)で、ここでも世界最高峰と言われるレースを抑えて日本のレースの1・2フィニッシュとなっている。2007年までの国際化計画には含まれていないが、東京優駿は賞金総額309万2900ドルで、世界各国の『ダービー』の中では最高賞金。ダービーに限って言えば、以下、英国、UAE、香港、愛国、豪国、仏国、伊国と続き、米国のケンタッキーダービーは世界9番目に過ぎないと、デイリー・レーシング・フォームは自虐的に書いている。

 ちなみに、先週行われたCBC賞の賞金(118万1031ドル)が、ケンタッキーダービー(118万4000ドル)とほぼ同額。CBC賞は、世界最高賞金のG2レースとなっている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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