2017年06月03日(土) 12:00
◆他馬を蹴散らして走れるようなたくましさは必要
ダービー、終わっちゃいましたね。
先週の当コラムでは、過去のデータをもとに、2着アルアイン、3着カデナで1着にノーザンファーム以外の生産馬という3連単を買ってみようかな、と書きました。
でも、レース直前まで悩みに悩んで買ったのは、アルアインとカデナ、アルアインとスワーヴリチャードを軸にした3連複。ノーザンファーム生産馬の3連覇はあってもいいと考え、有力馬に手広く流しました。
先にレイデオロが抜け出し、これをスワーヴリチャードが追いかけ、さらにアルアインがしぶとく伸びて来たときには、ほんの一瞬だけ「当たるかも!」と思いましたよ。ところがそれもつかの間。アドミラブルが追い込んできて、すぐさま「こりゃダメだ」と観念しました。まぁ、しょうがないですね。
もう改めて書くこともないでしょうが、こういう大一番に勝つためのプラスαの騎乗をしたのがルメール騎手、セオリーに忠実な騎乗をしたのが四位騎手で、私が期待したアルアインの松山騎手は大事に乗り過ぎちゃった、といったところですかね。
これは、ご本人が一番悔しい思いをしているでしょうから責められません。今回の経験を糧にして頑張ってほしいと思います(なんて、ちょっと生意気なことを言ってしまいました。騎手の経験もないのにすみません)。
ダービーが終わると、やっぱりちょっと気が抜けてしまいます。言い方は悪いですが、今週の安田記念は「ふたを開けて一晩たったシャンパンを飲まされるようなもの」。いっそのことこれをダービーウィークに開催したら、もっと盛り上がるかもしれませんよ。
それはさておき、ここ10年の安田記念の成績を見比べていて気が付いたのが、大型馬の活躍です。
2007年以降の1〜3着には、毎年必ず馬体重500kg以上の馬が来ていますし、12年からは5年続けて500kg以上の馬2頭が馬券圏内入り、14年からは3年続けて500kg以上の馬2頭と490kg台後半の馬1頭が1〜3着を独占しています。なにしろフルゲートで行われるサバイバルレースですから、他馬を蹴散らして走れるようなたくましさは必要でしょう。
今回のメンバーで前走時馬体重が500kgを超えていたのは、ディサイファ、ブラックスピネル、ロジチャリス、サトノアラジン、ヤングマンパワーの5頭。香港馬2頭もレース2日前の軽量で軽く500kgを上回っていました。
もちろん、レース当日の発表を見てからでないとわかりませんが、490kg台に乗るかどうかが微妙な馬が上位人気に推されそうなここは、すんなり堅く収まるかどうかも微妙。穴馬候補として体重500kgを超える馬をぜひ馬券に絡めたいと思っています(その候補が多すぎて悩んじゃいますが…)。
とにかく今春は苦戦続き。そろそろ“気の抜けたシャンパン”でもいいから、勝利の美酒に酔ってみたいものです(トホホ)。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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