2017年08月07日(月) 12:01 58
▲JRA通算300勝を達成した武士沢騎手がゲスト、事前に募集した読者質問にも懇切丁寧にお答えします!
7月15日の福島でJRA通算300勝を達成した、デビュー21年目の武士沢友治騎手(39歳)。今年2月の小倉大賞典をマルターズアポジーで制して299勝。そこから5か月を費やしての大台到達でした。これには「ここまで勝てないとよくわからなくなっちゃって」と武士沢騎手も苦笑い。今回は今だから語れる“300勝”達成秘話と、事前に募集した読者からの質問にお答えしていきます。(取材:赤見千尋)
赤見 300勝達成、おめでとうございます!
武士沢 ありがとうございます。ようやく勝てました。
赤見 失礼ながら、王手をかけてから148連敗で…。
武士沢 2カ月くらい勝てないことはよくあるけど、5カ月はさすがになかなかない(苦笑)。
赤見 やはり、徐々にプレッシャーが強くなっていたのでは?
武士沢 プレッシャーというか、ここまで勝てないとよくわからなくなっちゃって(笑)。これだけ勝てないことってないですからね。「どうしたらいいんだろう…」みたいな、正直、今までにない感覚に陥っていたかも。
赤見 周りの方たちも「いつだ、いつだ」って期待しますからね。
武士沢 そうそう。自分では気にしないようにしてたんですけど、そういう周りの期待が変なプレッシャーになって。そのうち、周りが期待している以上に、勝てないプレッシャーが自分にとって負担になってきている感じはありました。「勝てない…、勝てない…」って自己嫌悪に陥って、自分に嫌気が差してきて(苦笑)。
赤見 ジョッキーにとって、“1勝”は大きいですもんね。
武士沢 そうですね。同じ連敗でも、記録がかかっていなければ、こんなにプレッシャーを感じることはなかったんでしょうけど。
赤見 8番人気デルマサリーチャンでの達成となりましたが、一発あるかもという手応えはあったんですか?
武士沢 そういう感覚はあったかな。まぁどのレースもそう思って乗ってるんですけど、ああやって上手く前が開いて、そこから切れる脚を使ってくれてね。勝つときはそんなものなんですよ。全部うまくいったレースでしたね。
赤見 ファンのみなさんの前で記録達成のインタビューを受けたときはいかがでしたか?
武士沢 素直に「うれしいです」ということと、みんなに「まだか、まだか」と言われるのがつらかったという話をして。トントンといければよかったんでしょうけど、ここまで引っ張られると、ファンのみなさんも「ようやくか」みたいなね。逆にこういうパターンも味があっていいのかななんて思ったりもしたけど、これがまた福永さんの2000勝と同じ日っていうね(苦笑)。翌日の新聞では、福永さんの記事が紙面の半分くらいを占めていて、俺はその20分の1くらいで、探しちゃいましたよ(笑)。
▲武士沢騎手と同日に、福永騎手がJRA通算2000勝を達成 (C)netkeiba
赤見 300勝もすごい数字ですよ。
武士沢 いやぁ、もういっぱいいっぱいですよ(苦笑)。・・・
東奈緒美・赤見千尋
東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。
赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。