2017年10月11日(水) 18:00
10月12日(木)、門別競馬場で今年の2歳世代最初のダートグレード競走『第20回エーデルワイス賞(牝馬限定・JpnIII・ダート1200m)』が行われます。
エーデルワイス賞は過去19回のうちJRA10勝、地方9勝。ダートグレード競走の中でも地方馬の活躍が光るレース。昨年は1着リエノテソーロでJRAの勝利でしたが、2着から8着までホッカイドウ勢。一昨年は1着タイニーダンサー、2着モダンウーマンでホッカイドウ勢のワンツー。3着JRAのディーズプラネットという結果。今年もホッカイドウ勢は強力なメンバーが揃って、JRA勢を迎え撃ちます。例年このレースの後にホッカイドウ競馬から南関東競馬等に移籍する馬も多く、今後の全日本2歳優駿を頂点とした南関東競馬の2歳重賞戦線、さらには来年のクラシック戦線へも繋がっていく重要な一戦です。
今回は先にホッカイドウ勢を取り上げようと思いますので、参考レースとしてここまでのホッカイドウ競馬・2歳牝馬重賞3戦を振り返ってみましょう。
ホッカイドウ競馬の2歳重賞は6月の栄冠賞(1着サザンヴィグラス)、8月のブリーダーズゴールドジュニアC(1着サザンヴィグラス)、10月31日に行われる北海道2歳優駿へと続く牡馬牝馬混合路線に加え、牝馬限定路線も充実。フルールC、リリーC、フローラルC、エーデルワイス賞、ブロッサムCと続いていきます。
まず8月17日に行われたフルールC。重馬場で行われた1000m戦。先行争いが激しくなる中、マサノスマイルが逃げ、そのままコーナーを回って直線へ。4、5番手を追走していたグラヴィオーラが外から追い上げるも、2頭の間から伸びてきたボーダレスガールが末脚を伸ばし差し切りました。
フルールCに出走したメンバーでは1着だったボーダレスガール、2着マサノスマイル、3着グラヴィオーラ、4着ストロングハート、5着リコーデリンジャー、11着リボースの6頭がエーデルワイス賞に出走。ちなみに去年のフルールCで1着だったピンクドッグウッドはエーデルワイス賞で3着。4着だったアップトゥユーは2着でした。
続いて8月31日に行われたリリーC。稍重で行われた1200m戦。逃げるミスビセンチを見ながら2番手を進んでいたストロングハートが4コーナーを回って抜け出し、外から伸びてきたグラヴィオーラとゴール前は一騎打ち。1着ストロングハート、2着グラヴィオーラ、そこから5馬身離れた3着はリコーデリンジャーでした。
今回の出走メンバーはこの上位3頭に加え、1番人気4着だったコスモウーノ、5着パートカラー、6着マサノスマイル、7着リボースの7頭。昨年のリリーCで1着だったハタノオヌールはエーデルワイス賞で6着。2着だったシェアハッピーは7着、3着だったアップトゥユーは2着。リリーCで1番人気だったピンクドッグウッドはエーデルワイス賞で3着でした。
3戦目は9月20日に行われたフローラルC。4つのコーナーを回る1600m戦、重馬場で行われました。逃げたストロングハート。4コーナーを回って後方勢が射程圏内に入れて直線に向かいます。外から伸びた1番人気ミスマンマミーアが1着。逃げ粘ったストロングハートは1/2馬身差の2着。3馬身離れた3着はフォローユアハート。
今回1着ミスマンマミーアは未出走。2着ストロングハート、3着フォローユアハート、4着リコーデリンジャー、10着リボースの4頭が出走。昨年のフローラルCで1着だったオーブスプリングはエーデルワイス賞で4着、2着ジュンアイノキミは10着、3着チェリースプリングは14着と本番では振るいませんでした。これはやはり1600mと1200mの距離の違いによるところが大きいと思いますが、2015年のフローラルC勝ち馬タイニーダンサーはエーデルワイス賞でも勝利を挙げています。
ホッカイドウ勢の前哨戦成績
昨年、一昨年のホッカイドウ所属エーデルワイス賞好走馬前哨戦成績
3戦を見て注目馬の筆頭はリリーCを制したストロングハート。続くフローラルCでも1600mにもかかわらず2着に健闘。昨年2着だったアップトゥユーの全妹。タイニーダンサー、ハニーパイでこのレースを制している角川秀樹厩舎とグランド牧場のコンビで、姉の雪辱を果たします。
グラヴィオーラは1番人気に推されたフルールCで3着、続くリリーCでストロングハートと接戦を演じ2着。3着には5馬身差をつけており“負けて強し”の印象。ハイレベルで実力が拮抗している2歳牝馬路線、重賞での安定感は信頼できる存在。
フルールCでグラヴィオーラらを差し切ったボーダレスガール。母は2007年の勝ち馬マサノミネルバ。ゴールドアリュール産駒の期待の牝馬による母子制覇なるかにも注目です。
母子制覇なるかにも注目が集まるボーダレスガール(写真は2017年フルールC優勝時、(c)netkeiba.com)
フルールC5着、リリーC3着、フローラルC4着とすべて掲示板に載ったリコーデリンジャー。リリーCの次走をきっちりと勝ったコスモウーノとマサノスマイル。さらに別路線から2戦2勝のパキラパワーもいてホッカイドウ勢は実力伯仲です。
対するJRA勢は4頭。キャリアが浅く、今回が初ダートという馬が多い中、唯一ダート戦で勝利しているのがシャインカメリア。デビュー戦は芝で2着。2戦目の未勝利戦(新潟ダート1200m)で逃げて7馬身差の圧勝。3戦目の前走・ダリア賞(芝・1400m・OP)でも牡馬相手に2着。初の遠征、初のナイター競馬と克服すべき課題は多いですが、持ち前のスピードで重賞制覇を目指します。
持ち前のスピードで重賞制覇を目指す(写真は2017年2歳未勝利優勝時、撮影:下野雄規)
函館2歳Sで2着だったウインジェルベーラ。初ダートとはいえ、芝の重賞2着の実力は怖い存在。
芝の重賞2着の実績を持つウインジェルベーラ(写真は2017年函館2歳S出走時、撮影:田中哲実)
福島の新馬戦(芝1200m)を鮮やかに差し切ったラインギャラント。今回が7戦目と経験豊富なジュンドリーム。こちらの2頭も初めてのダート戦に活路を見いだすことができるか目が離せません。
今回が初ダートとなるラインギャラント(写真は2017年2歳新馬優勝時、撮影:下野雄規)
今年もここまでの戦績からホッカイドウ勢が優勢に見えますが、JRA勢が一矢報いることができるか見ものです。
※次回の更新は10月30日(月)18時。翌日に門別競馬場で行われる「北海道2歳優駿」のコラムをお届けします。
【ダートグレード競走とは】 中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。
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荘司典子
埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。
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