週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

2005年04月05日(火) 15:55 0

 欧州最高の2歳トレーニングセール「タタソールズ・ブリーズアップセール」の開催が、4月13日(水曜日)・14日(木曜日)に迫った。

 世界に数あるサラブレッド・セールの中で、今、最も費用対効果の良い市場は、間違いなくここであると思う。

 例えば昨年10月、牡馬に混じってG1クリテリウムドサンクルーに勝ち、今季の仏オークスの超有力候補と目されているパイタ(父インティカブ)は、昨年のこのセール出身馬だ。彼女の購買価格は32,000ギニー、邦貨にしてわずか687万円ほどであった。

 英国における2歳の出世レースとして知られるG2リッチモンドS勝ち馬で、今季の英国2000ギニーのアンティポストでも上位人気に顔を出しているモンゴメリーズアーチ(父アーチ)も、昨年のこのセールで購買された馬だ。彼の購買価格は20,000ギニー、日本円にして約429万円だった。

 さらに、きさらぎ賞で重賞制覇を飾り、皐月賞では唯一の外国産出走馬となりそうなコンゴウリキシオー(父ストラヴィンスキー)も、昨年のこのセールの出身馬。コンゴウリキシオーの購買価格も34,000ギニー、日本円に直すと約730万円という超お買い得価格だった。

 2歳トレーニングセールというと「アメリカ」という印象が強いが、英国のトレーニングセールも近年は上場馬のレベル向上が著しい。「ブリーズアップセール」の公開調教はニューマーケット競馬場で行われるのだが、広大なヒースを鍛え抜かれた若駒が一気に駆け抜ける光景は壮観である。例年日本人購買者は数えるほどしか見かけないセールだが、もったいない気がする。

 今季のカタログも、欧米のトップサイアーの産駒が顔を揃え、レベルが高いと評判である。

 上場番号25番の父ルイカトローズの牡馬は、ジャックルマロワ賞、ムーランドロンシャン賞といったマイルG1の勝ち馬プリオロの半弟。ということは、日本で走って2勝を挙げたエイシンキンボールの半弟でもある。

 上場番号67番の父サドラーズウェルズの牡馬は、母がG1チーヴァリーパークS勝ち馬ワンビーグランドという超良血馬。父系のスタミナと母系のスピードの融合を目指した、魅力溢れる配合である。

 上場番号93番の父ブラックミナルーシュの牡馬は、フランスの2歳G1クリテリウムドサンクルーの勝ち馬ポラリスフライトの半弟。父はこの世代が初年度産駒となるストームキャットの直仔だが、アメリカのセールで見かけた産駒も出来がよく、今後に期待の新種牡馬である。

 上場番号115番の父グランドロッジの牝馬は、昨年アイルランドの2歳LRアイアフィールドSに勝ち、今季の英国ダービーにおけるアンティポストで上位人気に推されているイェフディの半弟。更に本馬のおばがG1勝ち馬ウィンドインハーヘアだから、いとこにディープインパクトを持つ牝系である。

 上場番号137番の父フサイチペガサスの牝馬は、姉に仏1000ギニー勝ち馬タリブがいる。タリブの父はミスタープロスペクターで、本馬の父フサイチペガサスの父もミスタープロスペクターだから、本馬は欧州クラシックホースの3/4妹ということになる。

 上場番号154番の父シングスピールの牝馬は、日本で走り京王杯AHや府中牝馬Sを制したクロカミの半妹。いかにも日本向きの配合である。

 上場番号159番の父ジャイアンツコーズウェイの牡馬は、母がアメリカのG1サンタアナH勝ち馬ファーマ。初年度産駒が大活躍の父の2年目の産駒としても、注目の1頭だ。

 上場番号187番の父ミナルディの牡馬は、母がアメリカのG1ビヴァーリーヒルズH勝ち馬リラクタントゲスト。本馬の姉ニキーヤは日本で繁殖牝馬となり、G1フェブラリーS勝ち馬ゴールドアリュールの母となっている。

 公開調教が4月12日午前9時から行われ、セール本番を迎えることになっているが、結果もぜひこのコラムで御報告申し上げたい。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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