2017年11月14日(火) 18:00
木之前葵騎手にインタビュー!
赤見 今年も女性騎手の戦いレディスヴィクトリーラウンド(以下LVR)が始まりましたけれども、シリーズが始まる前には帯広競馬場で女性騎手によるエキシビジョンレースがありました。めちゃくちゃ楽しそうでしたね!
エキシビションレースに騎乗しました
木之前 本当に楽しかったです。わたしが乗せてもらったのはブチオくんという馬だったんですけど、すごく温厚で大人しくて。レース前に調教でも練習させてもらって、サラブレッドの2倍あるので迫力がすごかったです。レースでは後ろにばんえいのジョッキーが乗ってくれていたので安心だったんですけど、ゲートを出る時の衝撃がすごくて、「うぉ!」って感じでした。障害の時は馬のお尻が目の前にあって、見ている景色が非現実的というか、見たことない景色で、楽しかったですけどちょっと怖い気もしました。ファンの方も一緒に歩いて応援してくれて、温かい言葉をかけていただきました。またぜひ帯広に行きたいです。
ブチオくんとの2ショット
赤見 今回帯広は初めてですか?
木之前 そうなんです。北海道自体が初めてでした。名古屋が暖かすぎて、ものすごく寒かったです。でもずっと行ってみたかったので、とても楽しみでした。特に食べ物が美味しいと聞いていたので、それが一番楽しみで(笑)。
赤見 夜は女性騎手同士でかなり盛り上がったそうですね。
木之前 はい!みんなで4次会くらいまで盛り上がりました(笑)。なかなか女性騎手同士で集まる機会もないですし、LVRでも日帰りできてしまう場所だと次の日の攻め馬もあるからみんな帰るじゃないですか。だから、みんなでゆっくりご飯を食べながら話すっていう機会は本当になかなかないんです。すごく楽しい時間でしたね。ただ、翌日午前中の便で帰って来たので、意外と時間がなくて。せっかくの初北海道だったのに満喫し切れなかったのが残念でした。
赤見 今年のLVRは10月30日に盛岡ラウンドで開幕。第1戦5着、第2戦9着、総合では4位のスタートとなりました。
木之前 全然ダメでした…。去年は盛岡ラウンドで勝てたんですけど、今回は思ったようなレースができなくて。今、自分の中でスランプなんです。最近悩んでるというか、一時期のモチベーションになかなかなれなくて。波がある中で、良くない波のままずっと止まっている感じで、すごくモンモンとしてます。
赤見 2017年は年明けにポンポンと2つ重賞を勝って、かなりいいスタートでした。その反動ということもあるんですかね?
木之前 そうかもしれないです。すごくいいスタートを切ったと思ったんですけど、今はあんまり…
赤見 改めて、今年の重賞制覇を振り返っていただきたいんですけど、まず1月1日の尾張名古屋杯を3番人気のカツゲキライデンで勝利。
木之前 このレースは持っていかれちゃったんです…。すごく掛かりやすいとは聞いていたんですけど、持っていかれてハイペースになってしまって。なんとか勝ったという感じで内容としては恥ずかしいレースでした。本当に馬のお陰です。
赤見 同じく1月に園田クイーンセレクションで、5番人気のカツゲキマドンナに騎乗。赤岡修次騎手との叩き合いを制してハナ差での勝利でした。
木之前 あのレースは勝ったかわからなくて、自分としては「交わせなかったんだろうな」って思いながら検量に上がって来たんです。そうしたら「勝ったらしい」と聞いて、嬉しくて「え?本当ですか?!」って素で喜んじゃって。でも負けた騎手や関係者がいる中で良くなかったなと反省しました。そういうのはあんまり表に出さないようにした方がいいなと。
赤見 地元ではなく園田で重賞勝利というのもインパクトが大きかったです。
木之前 表彰してくれた方が、「何十年もここで表彰していますが、女性騎手を表彰したのは初めてです」って言ってました。園田はずっと女性騎手がいないですもんね。自分としてもすごく嬉しかったですし、よその競馬場で勝てたということも大きかったです。
赤見 去年大活躍でかなり飛躍した年でしたし、年明けも絶好調スタート。そういう意味では求めるものが高くなっているのでは?
木之前 そうですね。去年70勝して、今年ここまで55勝(2017年11月12日現在)なので、ペースが追いついてないなというのもあります。もっとがんばりたいんですけど、どうがんばったらいいのかわからないという現状で。
赤見 今は所属の名古屋だけじゃなく、笠松開催も毎日参戦していますね。お休みはあるんですか?
木之前 平日はほぼ毎日競馬で、土日も調教があるので、全休日ってなるとなかなかないですね。最近は土日にTVやイベントに呼んでいただくことも多いので、お休みはほとんどないです。でも、TVやイベントに呼んでいただくのは有り難いです。自分自身や名古屋競馬のことを知っていただくきっかけになりますし、とても楽しくやらせていただいてます。
赤見 先日出演したTV番組で、見事馬券的中していましたね。
木之前 京王杯2歳Sで3連単獲りました!めちゃくちゃ嬉しかったです。初めてあんなにドンピシャで当たって、馬券て楽しい!って思いました。最後の100mはすごくドキドキしましたし、ファンの方の気持ちがわかった気がします。すごくいい経験になりました。
赤見 お休みもなく、忙しい毎日の中悩んでいるということですが、自分へのご褒美というのはありますか?
木之前 美味しいものを食べること!甘いもの、海鮮、お肉とか大好きなので。だからもっと帯広を満喫したかったんですよ。今回は海鮮系をいただいてすごく美味しかったんですけど、ジンギスカンが食べられなかったので、次は絶対食べたいです。
赤見 宮下瞳騎手が去年復帰して、今年は一年フル参戦。意識しますか?
木之前 周りから比べられることはあんまりないんですけど、NARGPの優秀女性騎手賞を毎年目標にしているので、勝ち星は意識しています。高知の別府騎手もそうですけど、女性騎手の中で一番勝たなくちゃという気持ちはあって。瞳さんはレース運びが上手いですし、見習いたいところがたくさんあります。わたしがデビューした時は引退されていて、ずっと男性ばっかりだったので、瞳さんが復帰してくれて嬉しいですし、心強いですね。
赤見 では、今後の目標をお願いします。
木之前 とにかく上手くなりたいです。今馬乗りの基本的なところで迷っているというか、前はあんなにスムーズだったのに、何でこんなに迷っているんだろうっていう感じで。自分の中でしっくり来ていないので、自分自身を見つめ直したいです。普段のレースはもちろんですが、LVRも始まって、16日(木)は地元名古屋での開催になるので、ここでしっかり結果を出してきっかけを掴みたいです!
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常石勝義
常石勝義 1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。
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