JRAブリーズアップセール好成績にて終了

2005年04月26日(火) 18:54

 週明け、いきなり飛び込んできたニュースは尼崎市のJR快速電車脱線事故である。各局が通常の番組を大幅に変更しての報道で、事故の重大さに息を呑んだ。信じられない捻じれ方をした電車がまるで線路脇のマンションに巻きつくように衝突しており、改めて人口過密地帯で事故が発生するとどれほどの惨事となってしまうのかを思い知らされた。私事ながら、亡くなった方の中に、何度も会ったことのある馬好きなアマチュアカメラマンの知人の名前を発見し、ギョッとしたのだが、間もなく同姓同名の別人であることが判明。ホッとする一幕もあった。とはいうものの、犠牲者の多さに胸が痛む。ともあれ冥福を祈りたい。

 さて4月25日、かねてより予定されていた「JRAブリーズアップセール」が中山競馬場にて開催され、初の試みにも拘わらず、期待を上回る好成績で無事終了した。この日上場されたのは、牡39頭、牝30頭の計69頭。調教を進めて行く段階で計11頭が“脱落”した形となりこの頭数に落ち着いたようだ。

 69頭中落札されたのは60頭。売却率は実に87.0%という驚異的な数字を記録した。とりわけ、39頭中31頭の売却に終わった牡馬に比べて、牝馬は30頭中29頭が売却。平均値を大きく押し上げることになった。

 この日最高価格となったのは、52番「サンルージュの03」(父フォーティナイナー、牝)で3045万円(税込み)。千葉県の大城敬三氏が落札。生産者は三石町の田上稔氏。昨年の北海道8月市場にて850万5000円で購買された馬だったが、価格上昇率358%で取引されたことになる。

 続いての高額取引馬は、11番「フローレンスユメコの03」(父ダンスインザダーク、牡)で2730万円。京都府の大八木信行氏が落札。新冠町の大栄牧場生産。やはり昨年8月の北海道市場にて1711万5000円で購買された。こちらは“仕入れ価格”もそれなりだったため、価格上昇率は160%という結果となった。

 次は34番「ムーンセレナードの03」(父フォーティナイナー、牡)。価格は2215万5000円。落札者は千葉県の大城敬三氏。生産は新冠町のハクツ牧場。昨年の北海道8月市場にて2068万5000円という高価格馬だったため、価格上昇率は107%に止まった。

 あと2頭、価格が2000万円以上の落札馬を紹介する。41番「ホリノセレタの03」(父クロコルージュ、牡)。税込みで2100万円。落札は鹿児島県の中村孝氏。生産は門別町の法理牧場。昨年8月の北海道市場にて1060万5000円で購買された同馬の価格上昇率は198%。そしてもう1頭、60番「メイショウベローナの03」(父ダンスインザダーク、牝)。落札価格は同じく2100万円。東京都の種村良平氏が落札。新冠町の新冠橋本牧場生産。昨年の7月北海道市場にて735万円にて購買された。価格上昇率は286%。

 全体としては、牡が31頭で計3億8521万3500円。平均価格1242万6242円。牝が29頭で計2億8250万2500円。平均974万1466円。牡牝合わせた平均価格は1112万8600円となった。

 ちなみに、昨年の1歳市場にてJRA育成馬として購買されたのは計80頭。その合計金額は5億1775万5000円だった。そして今回はそのうちの60頭で合計6億6771万6000円。差額はプラス1億4996万1000円という結果を残した。昨年の市場終了後に引き取ってから約8ヶ月間、育成と調教を積んできた成果がこの数字になったということである。

 なお来場馬主数は計152名。盛況に終わったこのブリーズアップセールは、落札馬たちが今後各地でデビューしてくるわけで、その競走成績にも注目していきたいと思う。何にせよ、生産者としては、1歳市場におけるJRA育成馬購買事業にも影響するであろう大切なセールだったことを考えると、まずこの結果に素直に拍手を送りたい。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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