2005年05月24日(火) 18:05 0
先週末をもって、英国ダービー(6月4日・エプソム)に向けた前哨戦がほぼ終了。勢力分布の全貌が明らかになった。
目下、各ブックメーカーがいずれも抜けた1番人気に支持しているのが、ここまでデビュー以来3戦3勝の成績を残しているモティヴェイター。2歳10月にG1レイシングポストトロフィーを制した時点で、ダービーのアンティポスト上位人気に名前が挙がった馬だが、5月12日の今季初戦G2ダンテS快勝で益々ファンの信頼を得て、単勝オッズ各社3倍台の確固たる軸馬となった。父は、この世代が初年度産駒となるモンジュー。
2番人気は、ゴドルフィンとバリードイルという2大勢力を代表する馬2頭が、同じようなオッズで拮抗している。
ゴドルフィンが悲願のダービー制覇を目指して送り込むのが、ドバウィー。4月30日の英2000ギニーで人気を裏切り敗れた時点で、一旦は争覇圏外に去ったかに見られたこの馬だが、5月21日にカラで行われたG1愛2000ギニーを快勝。レース後陣営は、次走は英国ダービーに向かうことを高らかに宣言した。父は、これもこの世代が初年度産駒で、なおかつラストクロップとなるドバイミレニアムだ。
名手キアラン・ファーロンを擁するバリードイルの旗頭が、デビュー以来ここまで2戦2勝のジプシーキング。5月6日にチェスターで行われた10ハロン75ヤードのG3ディーSを快勝したサドラーズウェルズ産駒である。ディーSで2着に退けたアイムスパルタカスが、5月22日にカラで行われたG3ガリニュールSを快勝したことで、それまで以上に株が上がり、ドバウィーと並んで6倍前後のオッズで2番人気に推される存在となっている。ちなみにアイムスパルタカスはセン馬のため、英ダービーに出ることはできない。
9倍から13倍のオッズで各社が4~5番人気に推しているのが、これもエイダン・オブライエンが管理するサドラーズウェルズ産駒グランドセントラルだ。母がロイヤルアスコットのG1コロネーションS勝ち馬レベッカシャープという良血馬で、2歳時にメイドンを勝った段階からアンティポスト上位にいた馬だが、今季は愛2000ギニートライアル2着、愛ダービートライアルS3着と連敗。しかし依然として根強い人気を保っている。
11倍から13倍のオッズで各社4~6番人気に推しているのが、スコーピオン。デビュー2戦目に挑んだG3ガリニュールS(5月22日、カラ)でアイムスパルタカスの2着になった馬だ。管理するのはエイダン・オブライエンで、父はモンジュー。
11倍から17倍のオッズで各社5~6番人気に推しているのが、5月12日にヨークで行われたダンテS(G2、10ハロン88ヤード)でモティヴェイターの2着となったザギーザー。デヴィッド・エルスワースが管理するホーリング産駒で、近親に日本の女傑ヒシアマゾンがいるファミリーの出身馬である。
13倍から17倍のオッズで6~7番人気に推されているのが、5月8日にレパーズタウンで行われた10ハロンのG2愛ダービートライアルSを制してデビューから3連勝を飾ったフラカス。デヴィッド・ワックマンが管理するインザウィングス産駒だ。
5月7日にリングフィールドで行われた11ハロン106ヤードのG3ダービートライアルSの2着馬で、母が愛1000ギニー勝ち馬クラシックパークという良血馬ウォークインザパーク(父モンジュー)が、15倍から21倍のオッズで8~9番人気。そのダービートライアルSを制して、初勝利を重賞で挙げたコング(父サドラーズウェルズ)が17倍から26倍のオッズで8~10番人気。ダービー最終便と言われるグッドウッドのLRプレドミネイトS(5月18日、11ハロン)の勝ち馬アンファールド(父アンファウェイン)が21倍から26倍のオッズで10~11番人気となっている。争覇圏内はここまでか。
これまで戦ったメンバーの強弱を含めた実績や、距離適性を鑑みると、モティヴェイターの中心は動かしがたいと見る。この馬がここも無敗で通過して、古馬勢に挑むというのが、ファンとしては理想の展開であろう。
合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。