週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

2005年05月30日(月) 16:11

 先週のダービーに引き続き、今週はオークス(6月3日・エプソム)の展望を行いたい。5月28日に設けられていた追加登録のステージで、英1000ギニー馬ヴァージニアウォーターズと、ゴドルフィンのフェンシュイの2頭が2万ポンドを支払って追加登録。今年のオークスは13頭前後という手ごろな頭数で争われることになりそうだ。なお、5月1日にニューマーケットで行われたLRプリティポリーSを制して2戦2勝のファッショナブル、5月11日にヨークで行われた最重要プレップG3ミュージドラSの勝ち馬シークレットヒストリーの2頭は、残念ながら追加登録を行わなかった。

 1番人気が予想されるのは、シェイク・ハムダンのシャドウェル・エステイトによる自家生産馬エスワラー。4月15日にニューバリーのメイドン(10F6Y)でデビュー勝ち。続く前走5月13日に同じくニューバリーで行われたLRフィリーズトライアルも連勝。2戦2勝の成績で臨むアンファウェイン産駒だ。道中は後方に位置し、追い出されると目の醒めるような脚を使う、ディープインパクトばりのレースをする馬。母ミッドウェイレディは、86年に1000ギニー・オークスの連覇を果たした名牝である。各ブックメーカーは、3倍から3.25倍のオッズを掲げている。

 各社4倍から4.5倍と、エスワラーに迫る2番人気に推されているのが、5月7日にリングフィールドで行われたLRオークストライアルS(11F106Y)の勝ち馬キャシードラ。昨秋のLRゼットランドSで牡馬相手に5馬身差の快勝を見せ、オークスのアンティポストでずっと上位に名があったアイヤムザマンらを相手に、6馬身の差をつけるレース振りは圧巻だった。父はダルシャーンで、母はG2リディアテシオ賞勝ち馬クラクソン。ヘズモンズ・スタッドの自家生産馬である。

 各社5倍から6倍のオッズで3番人気が予想されるのが、追加登録してきた英1000ギニー馬ヴァージニアウォーターズ。実績は登録馬の中で抜けたナンバーワンで、机上の推測にしか過ぎないが、父キングマンボ、母の父サドラーズウェルズ、祖母の父シャーリーハイツ、3代母の父シーホークという血統は、1000ギニーよりもむしろオークス向きである。ただし、1000ギニーのレース振りが余りにも鮮やか過ぎたこと、その後の愛1000ギニーで8着と大敗していることを考えると、適性・調子ともに懸念材料が残ると言わざるをえない。

 6倍から7.5倍のオッズで4番人気が予想されるサムシングエキサイティングは、5月18日にグッドウッドで行われたオークス最終
便LRルーピS(9F192Y)の勝ち馬。父はホーリング、母はプリティーポリーS2着の成績があるファラウェイウォーターズ。

 伏兵を挙げるとすれば、フランスから遠征してくるアルゼンティーナか。アレフランスの孫というウィルデンシュタイン家秘蔵のファミリー出身で、父はサドラーズウェルズ。仏オークスの最重要プレップであるG1サンタラリ賞2着のあと、適性を鑑みてこちらに矛先を向けてきた。

 マクトゥーム・アル・マクトゥームの自家生産馬ピクタヴィア(父シンダー)も、距離延びてよさそう。展開しだいで今年のオークスがスタミナ比べになるようだと、こうした伏兵の台頭もあるかもしれない。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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