2018年05月03日(木) 18:01
▲岩田康誠騎手が15年桜花賞以来となるGI勝利 (c)netkeiba.com
ステイヤー頂上決戦・天皇賞(春)を制したのはレインボーライン×岩田康誠騎手のコンビ。入線後、下馬となった同馬(診断は右前肢跛行)への不安から終始曇りがちの表情での表彰式となったものの、岩田騎手にとっては15年桜花賞以来、約3年ぶりのGI勝利。哲三氏は道中での適切な進路取りと前哨戦でのレース運びに注目し、勝敗を分けたポイントを解説。その他、敗れはしたものの好騎乗を見せたジョッキーをピックアップして紹介します。(構成:不破由妃子)
天皇賞(春)は、岩田君に導かれたレインボーラインが鮮やかにGI初勝利を飾りました。岩田君自身も、GIタイトルは2015年の桜花賞以来3年ぶり。僕も久しぶりに彼のGI勝利を見ることができてうれしかったのですが、ご存じの通り、ゴール直後に下馬。こうなると、ジョッキーはどうしても馬の心配が先立ってしまうので、岩田君の表情も終始曇りがちでしたね。現時点ではまだ詳しい発表はありませんが、今はただ、レインボーラインのケガが軽度であることを祈るばかりです。
思わぬアクシデントはありましたが、レース自体は岩田君らしい実にいい騎乗でした。直線の捌きに目が奪われがちですが、僕が注目したのは最初の下り。ピンポン(宮崎北斗騎手)が前にいたのですが、そのピンポンを無理なくパパッとクリアし、その前に付けて内に潜り込んだあたりはファインプレー。道を作ってくれる馬の後ろにつけるのはいいのですが、力関係からしてそうではないと判断しての進路取りに見えました。馬のリズムを守るためには、こういった判断が明暗を分けます。
■4月29日 天皇賞春(12番:レインボーライン)
そこから1コーナーまで、馬群に邪魔されることなく、馬が集中して真っ直ぐに走れるようにエスコート。このあたりが、勝つための第一条件だったのではないかと思います。
4コーナーでは、真っ直ぐ進路が開いて外に出すのがベストな形だったかと思いますが、そうそう思い通りにはならないのが競馬です。岩田君の切り替えは素早かったですし、そこからゴールまでは前も上手いこと開きましたね。最後は内から鋭い伸び脚を見せましたが、それも道中でロスのないコース取りができていたからこそ。おそらくプラン通りに近い競馬だったのではないでしょうか。
前走の阪神大賞典で、早め早めの競馬ができたのも自信につながったと思います。結果的に後方からの競馬になりましたが、前走でバリエーションを増やしておくと、本番で両にらみのプランが立てられますからね。同じパターンばかりではダメだというのはそういうこと。競走馬の・・・
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佐藤哲三
1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。
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