2005年06月27日(月) 18:21
シーザリオ出走予定のアメリカンオークスは、週初めの段階で12頭立ての模様だ。
最大の強敵は、地元アメリカでデビュー以来4戦4勝負け知らずのメロールアインダ(父プルピット)か。母ポトリナーはアルゼンチンにおける芝のG1ミル・ギニーズの勝ち馬。その血統から判断したのか、あるいは調教での動きから判断したのか、管理するボビー・フランケル師は2歳9月のデビューからして既に芝のレースを選択し、3.1/2馬身差で楽勝。以後、前走6月5日にベルモントパークで行われたG3サンズポイントSまで、芝ばかりを使われ4連勝。3コーナーから強引にまくるという、アメリカ馬らしいレースをする馬で、おそらく当日はこの馬が1番人気になることが予想される。
地元アメリカのナンバー2が、6月5日に行われた西海岸における最終プレップレース、G2ハネムーンBCHを制したスリーディグリーズ(父シングスピール)。2歳時は英国在籍し、ランボーンに本拠地を置くラルフ・ベケットが管理したが、メイドンを2戦して3、2着と勝ちきれず、北米移籍となった。北米ではパトリック・ギャラガーが管理し、ここまで4戦3勝。これもゴール前でぶっ飛んでくる追い込み馬だ。
アメリカ勢で不気味だったのが、ダートのG1ハリウッドスターレットの勝ち馬で、ここが芝初挑戦の予定だったスプレンディドブレンディド(父アンブライドルズソング)だったのだが、週明けのハリウッドパークのホームぺージを見ると想定から外れており、どうやら回避か。
さらに、ヨーロッパからの遠征組でも、前走ロイヤルアスコットのG1コロネーションSが僅差の2着で、アメリカ向きの先行力があるカレンズケイパー(父ウォーチャント)が最大の敵と見ていたのだが、これも週明けのハリウッドパークのホームぺージでは想定から外れている。
これらが間違いのない事実なのであれば、相手関係は当初予想されたものよりもかなり楽になると言えそうだ。
欧州組では、伊1000ギニーを制したクラシックホース、シルヴァーカップの評判が良いようだが、現在のイタリアのレベルを考えると、この馬あたりの後塵は拝して欲しくない。仏1000ギニー4着、英オークス5着と、春のクラシックでそこそこの成績を残したシルクアンドスカーレットは、父サドラーズウェルズらしい不器用さのある馬で、アメリカの競馬に向くタイプではなさそうだ。
母ファイアザグルームがアメリカのG1勝ち馬ということで、一部で話題となっているスウィートファイアバードも、G3・3着がこれまでのベストパフォーマンスでは、力量的に足りないはずだ。
組み合わせ的には充分に勝機のありそうなシーザリオ。残るポイントは現地到着後の体調と、どんなレース運びをするかの2点にあると言えよう。
オークスのような、道中は最後方近くにいて直線だけで追い込むという競馬は、アメリカでは通用しないはずで、好位から抜け出たフラワーCのような競馬が理想か。また、アメリカでは4コーナーで内が開くということはほぼ絶対にありえず、このあたり、現地での騎乗経験が浅い福永騎手にはぜひ留意して欲しい点である。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。