2005年08月02日(火) 13:29
8月に入ると、いよいよ欧米で1歳世代のプレミア・マーケットが動き出す。
まず来週はアメリカで、伝統の「ファシグティプトン・サラトガ・イヤリング(9日・10日、ニューヨーク州サラトガスプリングス)」が行なわれる。
3週間前の「ファシグティプトン・ケンタッキー・ジュライ」が、総売上げ、平均価格、中間価格、主取り率という主要な指標全てで前年割れという結果に終わっただけに、関係者は期待と不安がないまぜになった気分で行方を見守っている。
昨年までの3日間開催が、今年は2日間開催に縮小。これにともない、カタログはぐっと薄くなった。カタログ掲載馬は、初日・2日目いずれも76頭づつの152頭。例年このうち10〜15%は欠場するから、実際の上場馬は130頭そこそこになってしまう可能性が高い。
キーンランド・ジュライの上場頭数が年々減少。結局最後の開催となった02年の上場頭数が146頭。その前年が132頭。要するに今年のサラトガはそのレベルまでシュリンクすることになるのだ。
キーンランド・ジュライが、余りにもセレクティヴに市場になり過ぎ、ごく一部の大金持ちにしか買えないマーケットとしてのイメージが定着。購買者の絶対数が足りなくなって、バイバック・レートが急上昇。結局は消滅への道を辿ったことを考えると、いささか心配な状況である。生き物と言われるマーケット、その振り子がどの方向に触れるか、まさしく興味津々といったところだ。
血統だけから判断するなら、牡馬の目玉は上場番号98番か。父は、ブレークとまでは言えないものの、初年度産駒好調のフサイチペガサス。兄に、BCスプリントを制した短距離王スカートルスカートがいる。父がマーケットリーダーのストームキャット。母がG1アッシュランドS勝ち馬リングスアチャイムという、上場番号130番の牡馬も、馬の出来如何では当然最高価格馬の候補となってくるだろう。
牝馬にも食指が動く馬が多い、
上場番号131番も、父はストームキャット。母がBCディスタフを制したチャンピオン牝馬サカヒュイスタで、兄にG1ジョッキークラブ大賞をはじめ重賞4勝、日本の皆さんにはステイゴールドの制したG1香港ヴァーズの2着馬としてお馴染みのエクラーがいる。
上場番号153番の牝馬も、父ストームキャット。メイトリアークS、デルマーオークスという2つのG1を含めて6つの重賞を制した活躍馬トーシャルマンが、母となって初めて産んだ子だ。
上場番号113番の牝馬は、父オリエンテイトで、母ミズストライクゾーン。ということは、昨年のG1マンノウォーS勝ち馬マジストレッティの半妹であり、なおかつ、先日のJRHAセレクトセールで1億円で購買された、父エンパイアメーカーの牡馬の1つ上の姉ということになる。
現地に取材に赴く予定なので、日本人購買者の動向も含めて、セール後の結果報告を楽しみにお待ちいただきたい。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。