2018年11月17日(土) 12:00
ひとつの記録が生まれるときには、そこに必ずエピソードがつけ加えられる。その中で、「頭脳は柔軟に、行動は機敏に」なる言葉を連想させたのが、マイルCSを勝てば同一年度のマイルGI春秋連覇の記録をつくることになるモズアスコットだ。春の安田記念は連闘でのぞんでいたが、2週間前の登録段階では補欠の一番手、ならばと予定を前倒しして安土城Sで必勝を期したのだ。
ところが鋭く追い込んだもののクビ差届かず2着に終っていた。自力では出走できなくなったところが、賞金上位馬が回避し幸運にも念願がかなうことになったのだった。陣営は連闘に踏み切り、9番人気での勝利に結びつけたのだが、実戦を叩いた効果があり、馬をピークに持って行けたと矢作調教師はふり返っていた。
14戦無敗、GI10勝の怪物フランケルの産駒で、目指すは種牡馬への道と期待されているが、体質が弱く、デビューが3歳の6月と遅れていたのが、今や快挙をつかむところまで来ている。この秋、スワンS2着で万全の態勢は整っている。
遅れてきた名マイラーと言えば、平成11年に春秋マイルGIを勝ったエアジハードがいた。同期の怪物グラスワンダーを下して安田記念を勝ち、秋は天皇賞3着からマイルCSに出走して、やはり同期のキングへイローを下していた。素質を見込んで、じっくり無理せずに使われ、4歳時に花咲かせたのだった。モズアスコットも、こうなれるかどうか。
記録と言えば、連覇をめざすペルシアンナイトもいる。昨年の3歳時は、ダービーに出て7着に終ったが、マイル戦に矛先を向けたことが功を奏し、富士S5着のあとマイルCSを勝ったのだった。この秋も富士S5着でここに出てくる。前走は、直線入口で前をカットされてエンジンのかかりが遅くなっていたが、あくまでもこちらが本番だ。
京都の外回りのマイル戦は、3コーナーの下り坂を利してスパートできるコースで、中距離戦を経験しているのもポイントになる。毎日王冠の1着馬アエロリットも注目だが、マイル戦に切り換えてきた3歳馬ステルヴィオの可能性にも賭けてみたい。前走で古馬相手に目途が立っている。
どんな記録とエピソードが生まれるか。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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