2005年08月23日(火) 14:03
エイダン・オブライエン調教師率いるバリードイル軍団の、今年の2歳世代が好調。現在のところ、2000ギニー、ダービーいずれのアンティポストも、バリードイル所属馬がマーケットをリードする形となっている。
各社5倍前後という、この時期のアンティポストではあまり見られない、低いオッズを与えられて2000ギニーの大本命に推されているのが、ジョージワシントン(父デインヒル)。エミレイツ・ワールドシリーズ・チャンピオンとなったグランデラの半弟という良血馬で、昨年10月のタタソールズ・オクトーバーセールで115万ギニー、およそ2億4000万円という市場最高価格で購買された、生粋のエリートホースである。
5月1日にニューマーケットで迎えたデビュー戦こそ若さを見せて3着と敗れたものの、3週間後のカラのメイドンで初勝利。続くG2レイルウェイSで重賞初制覇を果たした後、G1初挑戦となった8月7日のフィーニクスS(カラ、6F)が圧巻だった。同じ日に同じ距離で行われた古馬の重賞フィーニクス・スプリントSより0.5秒も速い勝ちタイムで、2着以下に8馬身差をつける圧勝。手綱をとったチャンピオンジョッキーのキアラン・ファーロンをして、「こんな感触は、これまで味わったことがない」と言わしめたのである。
今後の予定はまだ明らかにされておらず、あるいはこのまま2歳シーズンを終了する可能性もあると言われているが、いずれにしても目を離せない存在であることは間違いない。
一方、13倍をつけているウィリアムヒルを筆頭に、各社がダービーのアンティポストで本命に推しているのが、デビューから3戦3勝でここまで来ているホレイショネルソンだ。
こちらも父はデインヒル。母が愛1000ギニーと英オークスを制しているイマジンで、その兄に英愛ダービーに加えてキングジョージも制したジェネラスがいるという、ジョージワシントンを上回る飛び切りの超良血馬である。
6月24日のカラのメイドン(7F)でデビュー勝ち。7月7日のニューマーケットのスーパーレイティヴS(G3、7F)で重賞初制覇。そして8月20日のカラのフューチュリティーS(G2、7F)も勝って3連勝と、ここまでは着実に高い期待に添うパフォーマンスを見せている。
まだ本当に強い相手と戦っておらず、ジョージワシントンのように派手なパフォーマンスを見せたこともないホレイショネルソンだが、フューチュリティーSと言えば、過去オブライエン厩舎が、ジャイアンツコウズウェイ(99年)、ホークウィング(01年)、オラトリオ(04年)といった馬たちで制しているレース。ホレイショネルソンにも、こうした馬たちと同様の期待がかかっていることは言うまでもない。
バリードイルがどんな戦略をもって、こうした期待の若駒たちとともに来季のクラシックに臨むのか、興味深く見守りたいと思う。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。