2019年02月23日(土) 12:00
中山記念と言えば、11年前のシーンが思い出される。後方一気が代名詞だった7歳馬カンパニーが2番手でレースを進めて抜け出す正攻法を披露、3度目の中山記念で完璧な勝利をつかんでいた。
過去2回は追い込み届かず、2着と4着に敗れていたが、テン乗りの横山典騎手ならではの機転を利かせたプレイが功を奏したのだった。
この時の一番人気は、年明けの中山金杯2着で、続くAJC杯で重賞を初めて勝ったエアシェイディだったが、スタートしてからの位置取りが悪く、抜け出てくるのに手間取って3着に終わっていた。
中山記念の内回り1800米はとにかく先行有利で、外を回っては届かない難コース。実績から人気になる有力馬が大敗することが多い。それと、ペースが上がらないことがほとんどで、だいたいがスローに流れる。
好位置が取れず、しかも、直線外に出して脚を伸ばそうとするのが負けパターンと言っていいのだ。成績からこの馬だと思い込んでいたものが、位置取りがうしろすぎ、ペースの上がらない流れに右往左往するうちに外を回らされて敗れてしまう、こんなシーンを幾度も見てきた。
ウインブライトの勝った昨年だけが平均ペースだったが、その他の年は全てスローペースだった。そして勝ち馬の全てが5番手以内の好位置につけていて、3年前のドゥラメンテ以外は、いずれも内をついて抜け出していた。
勝ち馬のうちドゥラメンテだけが一番人気。皐月賞、ダービーの二冠馬で、骨折で9ヶ月ぶりだったが、直線は外からケタ違いの脚を使っていた。これは別格の強さで、ドゥラメンテ復活祭の中山記念だった。それ以外の一番人気馬は、スタートが悪くいい位置が取れなかったり、ペースが遅く脚質に合わなかったものばかりで敗れていた。
馬力と持久力が活きる中山コースで、マイル路線と中距離路線の一流馬が揃ったが、この一年をどう戦っていくか、その方向性を決定するレースだから、極端に言えば、勝つことよりどう戦うかに意味がある有力馬もいるということだ。そこにこの一戦の難しさがある。都合よく思い込んでレース検討をしていないか、もう一度考え直してみたい。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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