2005年09月20日(火) 20:28 0
先週取り上げた業界誌「JBBA・NEWS」9月号に、本年度第1四半期における地方競馬の開催成績が掲載されている。2005年4月より6月までの、各競馬場の数字を集計したものである。
それによれば、全体で馬券発売額が前年比(1日平均による)で101.9%と、わずかながら数字の伸びたことが報じられている。何やら俄かには信じられないような話だが、南関東4場の発売額が、浦和を除いた3場でいずれも前年を上回ったため、前年比で103.2%を記録。この増加分が全国平均1.9%増加の「原動力」となったのである。
地域別に見ると、かなりのばらつきがある。まず北海道は、札幌開催(6開催、32日)だったが、入場人員が79458人(本場のみ)。1日平均で2483人。対前年比で69.5%と低迷した。発売額も41億4024万円余で、1日平均1億2938万円余。前年比83.4%に終わった。
東北は、今や岩手県の2場しかなくなっているが、7開催42日間で入場人員15万4147人。1日平均3670人。前年比105.7%と健闘している。とりわけ、盛岡は2開催12日間で、5万3383人を集め、1日平均4449人と前年に比べて20.3%もの伸びとなった。水沢も5開催30日間で10万764人、1日平均3359人と前年を1.9%上回っており、これを見る限り「人気は衰えていない」ことを感じさせる。
しかし、ひとたび発売金額に目を転じると、水沢と盛岡を合わせた42日間の数字は、合計で91億5302万6700円。1日平均2億1792万9200円。前年比85.1%と、北海道と同様にかなりの落ち込みとなった。「人は入っているが馬券が売れない」という傾向が依然として変わっていないようだ。
南関東は浦和が3開催13日で6万7591人、1日平均5199人(前年比74.2%)、発売金額67億8320万2400円、1日平均5億2178万4800円(前年比88.2%)だったものの、他は発売金額を伸ばしており、船橋が1日平均6億4784万2100円で前年比107%、大井が1日平均9億9711万6200円で前年比104.3%、川崎が1日平均7億2223万5600円で前年比115.1%と、大健闘した。とりわけ川崎は4開催17日間で入場人員も1日平均8748人、前年比で116%と、第1四半期に限ってはかなりの好成績に終わったと言える。
ただし、景気の良い話はここまでで、東海・北陸は金沢と笠松、名古屋の3場を合わせると、入場人員こそ前年比98.8%と微減にとどまっているものの、発売金額は89.6%とこちらも10%以上の落ち込みである。金沢が前年より0.9%増加しているが、笠松と名古屋で足を引っ張った形になった。
近畿・中国・四国は、園田と姫路、福山、高知の4場だが、姫路は開催がなく、3場のみの開催だった。その中で、園田は7開催41日間、入場人員19万4842人(1日平均4752人、前年比88.9%)、発売金額81億2841万7600円(1日平均1億9933万3600円、前年比84.1%)と、大きく落ち込んだ。
また、補助金不正事件に揺れた福山は、4開催20日間で、5万3368人(1日平均2668人、前年比83.7%)、発売金額は22億52万6100円(1日平均1億1002万6300円、前年比95.5%)。高知は5開催30日間で3万9940人(1日平均1331人、前年比79.2%)、発売金額が13億7451万2300円(1日平均4581万7100円、前年比82%)と、ともに厳しい数字である。
最後に九州の2場。佐賀は5開催29日間で15万8697人(1日平均5472人、前年比103.1%)、発売金額27億6894万3100円(1日平均9548万800円、前年比94.3%)。荒尾が5開催22日間で3万7851人(1日平均1721人、前年比81.6%)、発売金額16億1399万8600円(1日平均7336万3600円、前年比90.9%)。
冒頭で記したように、発売金額で見た場合、南関東以外は、ほとんどが前年を下回ったところばかりだ。ところが、全体の発売金額963億9094万8000円のうち、南関東4場だけで573億9664万800円と、ほとんど6割近くを占めるため、平均値を押し上げたのである。したがって、1日平均では全体で2億5842万722円となるが、南関東4場以外では、すべての競馬場がこの平均値を下回る結果となっている。
今月一杯で第2四半期の数字がまとめられるだろうが、果たしてその後どのような数字で推移しているものか。また、昨年の今頃には複数の競馬場で存廃問題が浮上したことを改めて思い出すのだが・・・。
田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。