2005年09月27日(火) 11:31
ヨーロッパ最高のイヤリングセール「タタソールズ・オクトーバーセール」が、10月4日から英国ニューマーケットで開催される。まずは、4日(火曜日)から7日(金曜日)までの4日間が、プレミア・マーケットの「オクトーバー・Part1」だ。
1億円を超える価格で取引される馬も珍しくないこのセールだが、一方で、2年前にここで75,000ギニー(約1575万円)で購買されたモティヴェイターが英国ダービー馬となったり、50,000ギニー(約1050万円)で購入されたシャマーダルが仏2冠に加えてロイヤル開催のG1セントジェームスパレスSを制するなど、比較的廉価で購買された馬からも超大物が出ているこのセール。今年も世界中の競馬関係者がその動向に注目している。
今年、バイヤーたちの間で引っ張りだことなりそうなのが、03年5月に急逝したためこの世代が最後となるデインヒルの産駒たちだ。今季の3歳世代からもエクリプスSと愛チャンピオンSを制したオラトリオが出現。更に2歳世代にも、フェニックスS・ナショナルSとG1を連勝し、各社ブックメーカーが来年の2000ギニーへ向けてオッズ4倍から5倍という大本命に推しているジョージワシントンが現れるなど、産駒は相変わらず走りまくっている。オクトーバー・Part1には、母が1000ギニー馬スリーピータイムという牡馬(上場番号#599)をはじめ、19頭のデインヒル産駒がスタンバイしている。
今年3歳の初年度産駒が大ブレークし、実質一世代しか産駒がいないのに、英愛リーディングサイアー・ランキングがデインヒルに次ぐ第2位。今週末の凱旋門賞にも、少なくとも3頭の有力馬が出走を予定しているモンジューの子にも、当然の如く人気が集まることが予想される。姉に今年のロイヤル開催でG1コロネーションSを制したメイズコウズウェイがいる牝馬(上場番号#1)や、母が牝馬ながら愛セントレジャーを制したユーロバードという牡馬(上場番号#213)など、4日間で31頭のモンジュー産駒がセールスリングに登場の予定だ。
今年の1歳が初年度産駒となる新種牡馬では、現役時代にG1・7連勝という大記録を樹立したロックオブジブラルタルに最も注目が集まっている。昨年の当歳市場でも評判が良かったし、8月のドーヴィルセールでも2番目の高値となる50万ユーロで購買される産駒が出たロックオブジブラルタル。オクトーバー・Part1には、姉にコロネーションS勝ち馬シェイクザヨークがいる牝馬(上場番号#104)、姉に01年のフランスの2歳牝馬女王サルクがいる牡馬(上場番号#408)など、29頭の初年度産駒が市場に出回る予定だ。
日本向きとして知られる種牡馬の産駒たちにも注目したい。
例えば、今年春アサクサデンエンが安田記念を制したシングスピール。母がコロネーションS勝ち馬バリサダという牡馬(上場番号#93)、兄に、サンタアニタダービー・シューメーカーマイルと、芝・ダート双方でG1を制したキャッスルデイルを持つ牝馬(上場番号#372)など、19頭が上場予定。
或いは、エルコンドルパサー、キングカメハメハと、超ド級の大物を2頭出しているキングマンボ。兄に98年の仏2歳牡馬王者ウェイオヴライトがいる牡馬(上場番号#558)など、4頭が上場を予定している。
この他、1000ギニー馬スリーピータイムをはじめ3頭のG1勝ち馬を兄姉に持つ母アリディバの牝馬(父ガリレオ、上場番号#57)、来年の2000ギニーの大本命馬ジョージワシントンの半弟で、02年の欧州古馬王者グランディラの全弟にあたる母ボーディゲーラの牡馬(父グランドロッジ、上場番号#115A)、今季のグローバル・スプリント・チャレンジ総合優勝を確定しているケイプオヴグッドホープの全弟(父インチノール、上場番号#131)、母が愛牝馬女王ダンスデザインで、父がこれも初年度産駒バカっ走りのジャイアンツコウズウェイという牝馬(上場番号#167)、昨年の香港C勝ち馬で、今季もG1・2勝している女傑アレグザンダーゴールドランの半弟(父マキャヴェリアン、上場番号#538)、先月ドーヴィルのG1モルニー賞を制し、来季の1000ギニーの有力候補となっているシルカズシスターの半妹(父ピヴォタル、上場番号#588)など、興味深いロットが目白押しのオクトーバーセール・Part1。現地で取材を行う予定なので、2週間後のこのコラムでじっくりと御報告を申し上げたい。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。